「閲覧注意、ネットで晒すな」批判されても“生きている証”を、リンちゃん両親の揺るがない決意
YouTubeが社会とのつながりに
家にこもりきりでケアに励むnikkoさんだが、昨年4月に始めたYouTubeチャンネルが社会との大きな接点になっている。 「始めた理由は3つあって、1つは同じ状況の方のブログを見て、私自身が勇気をもらったこと。今後同じ診断を受けた方が、前向きになるきっかけをつくれたらと。2つ目は看護師さんなどに“面白いね~癒されるね、こんな子初めて!”と言ってもらえたこと。入院中の誰よりも声が大きく、面白いエピソードがいっぱいある子で(笑)」 親バカながら、病気があってもリンにはすごいパワーがある。そんな様子を多くの人に見てもらえたらいいな、と語る。そして理由のもう一つは─。 「今の時代、一般的な子は成長するにつれ自分の意思でSNSや社会とつながれるけど、この子にはそれができない。だからこそ生きている証しを残したくて。リンのおかげで命の尊さや、当たり前の生活がいかに幸せかを教えてもらったので、それを発信したいんです」(nikkoさん) ひとつのショート動画が600万回以上再生され、登録者が一気に1000人を超えた。だが閲覧数が増えるにつれ、ネガティブな声も届くようになる。 「リンの顔貌について《閲覧注意をつけろよ!》や《子どもの顔を晒すな》という意見、《自分の子がこうじゃなくてよかった》という声には傷つきました。でもそれは少数で、それ以上に《なんてかわいい子なんだ、癒される》といったコメントも頂きました」 今では登録者数も1万人以上に増えて、それもnikkoさんの自信にもつながったそう。 「私たちは社会的にサポートを受ける側だけど、発信する側になれば、誰かにありがとうと言ってもらえるし、賛否両論はあっても社会とつながれます。医療ケア児のことをより知ってもらえるのであれば……。私たちの存在を無視されるよりは、最初はかわいそうだとか、口元はどうなっているの?という興味本位でもいいんです。ただリンを知ってもらえたら、少しでもかわいいと思ってもらえたら、それで十分うれしいし、ありがたいなと思います」(nikkoさん) nikkoさん・ゲンさん夫妻 全前脳胞症の娘・リンちゃんを授かり、妊娠中からブログを更新中。医師から「生まれることができるかわからない」と言われながらも、奇跡的に誕生。YouTubeでは現在の日常や医療ケアについて配信中。取材・文/植田沙羅