Getty Images

「ニンニクを生で食べるとニキビを減らせる」という話が最近聞こえてくる（これからデートに行く、という人や、吸血鬼には向いていない方法ではあるのだが）。 TikTokでは近ごろ、@definitelynotasianをはじめとする多くのユーザーがそう主張している。ただし問題は、このアドバイスを文字どおりに受け取るべきか、それとも、まずは科学的な根拠を確認すべきか、ということだ。 そう、一般的には、科学的な根拠を真っ先に確認した方がいいだろう。まずは、医学分野最大規模のデータベースPubMed（パブメド）で、「ニンニク」と「ニキビ」を検索しても、情報はほとんど見つからない。 皮膚科学専門誌のAustralasian Journal of Dermatologyには、『ニキビ対策を目的に、ニンニクのフェイスマスクを使用したことによる顔面熱傷の事例』と題した研究報告が掲載されている。しかし、生のニンニクを食べるとニキビを減らせることを裏付けるエビデンスはない模様だ。 当然のことだが、どこかのTikTokユーザーが、自分で何らかの方法を試し、それによって得られたと思われる成果を発表することは、本物の科学的研究と同列に扱うことはできない。第一に、その人物がたまたま個人的な知り合いであるか、実際にそうした効果があることを示した正式な文献を提示していない限り、その主張が本当に筋の通った話なのかはまったくわからない。 つまり、その人が、生のニンニクを食べると同時に、他のやり方も試しているかどうかは定かでない。例えば、生のニンニクを食べていると喉が渇き、水を飲む量が増えたとすれば、ニンニクを食べたことよりは、体内の水分量増加が、肌にいい影響を与えた可能性がある。 その人物はまた、ニキビ改善につながりそうな別の行動も、並行してやっているかもしれない。運動量を増やしたり、脂っこい食べ物を減らしたりしたのではないだろうか。ニンニクを食べ始めたら、口臭のせいでその人物に有害な人が近寄らなくなり、緊張がほぐれたという場合も考えられる。ストレスとニキビは関係しているかもしれないからだ。 あるいは、その人物は自分を吸血鬼だと思っていて、太陽光に当たらないようにしていたら、皮膚が炎症を起こさなくなった可能性だってある。ニキビの予防や改善については、肌を清潔にして潤いを保つことや、メイクをなるべくしないことも一つの方法だ。または、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、グリコール酸、乳酸、レチノイドジェル（ディフェリンゲル0.1% ）といったニキビ治療薬を使う手もある。 ということで、生のニンニクを食べるとニキビが減ると言っている本人と生活を共にしているとか、その人を常時観察しているのでもない限り（もしそうだとしたら気味が悪いが）、その人のニキビに影響を与えている要素が他にあるかどうかはわからない。