「トラックが通ると塩水が…」漁港近くの踏切で貨物列車が脱線 塩害でレール腐食か 事故原因を検証
これには別の専門家も、JRの保線の体制を厳しく指摘します。 (工学院大 高木亮教授)「敷板を外さずにレールの頭部を見て済ませてしまったことが明らかに問題だった。自然条件や場所によって違うことと常に戦い続けなければいけないことが、地べたにレールを置く鉄道の宿命だと思う」 (JR北海道 綿貫泰之社長(20日))「現場の責任ではなく、そういうルールにしていたので、腹部の腐食に思い至らなかったルールの設定の問題と認識」
「塩害の影響」踏切の特異的な構造も
JR北海道は11月29日に会見を開き、脱線が起きたとされる踏切が特異的な構造で塩害の影響をうけた可能性があると見解を示しました。 (JR北海道 進藤州弘工務部長)「潮がなければ、あそこまでの腐食が進むとは考えにくいので、おそらく塩(分)の作用は何かしらあると考えている」 さらにー。
(宇佐美記者)「列車が踏切を通過します。車両が大きく右に傾いています」 JRは塩害のほかにも線路が曲線で傾いていたことが、レールの腐食につながった可能性があると説明しました。 (JR北海道 進藤州弘工務部長)「傾きがついた線路になっていて踏切内が凹凸がついた道路面になっているので凹凸のくぼみに水がたまりやすかったのでは。環境要因のどれが、鷲ノ木踏切(現場)で強く働いたか現段階では特定できていない」
繰り返される脱線事故 修繕費は4割増加
道内で繰り返される脱線事故。 2011年には石勝線で脱線、トンネル内で特急列車が炎上。 2013年には大沼駅構内で貨物列車が脱線。 レール幅が広がっていたことなどが原因でしたが、検査データを書き換えていたことも判明しました。
(工学院大 高木亮教授)「今回、比較的重要な路線であっても、この程度の保守しかできないことだとすると、もう少し経営体制のあり方を考えなければいけない。JR北海道だけの力でどうにかなるという範囲はもう超えているかなと思う」 高木教授がこう話す理由は、JR北海道の厳しい経営状況にあります。 修繕費は設備の老朽化もあり、ここ10年で4割近くも増加。 さらに綱島教授は、安全投資が十分ではない可能性を指摘します。