【闘病】血小板が正常値の5%以下…「特発性血小板減少性紫斑病」で気づいた健康な体の尊さ
妻の支えがあったからこそ、治療に専念できた
編集部: 入院期間中はどのような心境の変化がありましたか? グッチさん: 入院したがんセンターは、病棟が無菌室というエリアでした。同じ病棟に入院している人の中には、小さな子どももいました。まだ親と一緒にいたい時期なはずなのに日中は1人で病室にいるのを見ると、自分も子どもを持つ親として他人事とは思えませんでした。今回初めて病気になり入院したのですが、決して「健康であることが普通」ではないことなのだと気づかされました。 編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 グッチさん: 妻の存在です。妻も同じ自衛官でしたので、入院期間にやらなくてはいけない職場との手続きなどは妻がすべて担ってくれました。週末の面会時には必要な物を持ってきてくれるだけでなく、手料理を作って持ってくれた時もあり、とても癒されました。妻の存在のおかげで、仕事に対する気持ちの負担が軽減でき、治療に専念できました。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? グッチさん: 病院にはソーシャルワーカーという職種の方がいて、入院中に感じる仕事や経済的な不安、主治医との関わり方などの相談に乗ってくれます。なので、もっと早くから相談しておけばよかったと思いました。入院当時には、保険の申請方法などほかの職種の方には相談しにくいことをソーシャルワーカーの方に相談させていただき、本当に助けられました。自分を担当してくれたソーシャルワーカーさんとは今も付き合いがあり、心の支えになってくれています。
「子どもに弱い姿を見せたくない」脾臓摘出を決意
編集部: 治療を始めてから現在までの状況を教えてください。 グッチさん: 私の場合、3カ月の入院とステロイド治療によって筋力が低下してしまったので、リハビリテーション科での運動をしましたが、血小板が正常値を維持することはありませんでした。退院して5カ月間も自宅療養とステロイド治療は続いていました。「特発性血小板減少性紫斑病」は、脾臓による古い血液成分を処理する機能がより高まって起こるものです。脾臓を取るとこで改善に繋がる可能性があると主治医から聞いた時、「脾臓摘出」を迷わず決断しました。子どもに薬を飲み続ける姿を見せるぐらいなら、という思いが強かったのです。 編集部: そうなのですね。手術後はいかがでしたか? グッチさん: 骨髄穿刺をも上回る人生一の術後の痛みを耐えた5日後には、リハビリで自転車をこぐほど回復していました。血小板も正常値を常に維持するようになり、ステロイドの服用がなくなり、不眠症やムーンフェイスからも解放されました。脾臓摘出から5年が経ちましたが、今は異常なく過ごしています。お世話になったソーシャルワーカーさんには今でもたまに連絡をし、当時の気持ちを伝えることができています。 編集部: 特発性血小板減少性紫斑病を意識していない人に一言お願いします。 グッチさん: この病気は小さな子どもも罹患する病気です。自分もこの長くて最初は覚えられなかった病名も今では息を吐くように言えます。子どもに突然アザができても、どこかで走り回った時に転んだのだろうなどと軽く考えず、少しでも注意してもらうと早期発見に繋がるかもしれません。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? グッチさん: 今回「血液内科」という血液に特化した科があることを初めて知りました。入院や通院を経て、それぞれの病気に寄り添い、どんな病気になっても安心できる科があることに驚きました。これからもそれぞれの病気に向き合う患者の癒しになっていただきたいと思います。医療従事者の方には大変お世話になりましたが、その中でも一番患者に寄り添って、親身になってくれるのがソーシャルワーカーさんでした。担当の先生や看護師さんは忙しそうで何かと遠慮してしまいますが、ソーシャルワーカーさんは相談や支援を専門とされているので本当に助かりました。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 グッチさん: まず自分がなった病気はみなさんもインターネットで調べると思います。今の時代は本当に便利です。どの病気にもコミュニティが存在し、同じ症状や悩みを抱えた人とすぐに繋がり、体験を聞くことができます。以前こちらのサイトで同じ病気の記事を書かれたAkiさん(仮称)とも、コミュニティを通して縁があり、今回このような記事で病気について語る機会を得ました。情報の取捨選択は重要ですが、病気になったからとあきらめず、いろんな情報やつながりを大切にしてもらえると嬉しいです。