五輪金&世界王者の村田諒太が1年延期とコロナ禍で苦悩の東京五輪代表選手の人生相談に乗る…金メダル獲得方法指南
南京都高(現京都廣学館高)ボクシング部の後輩で、延期になったことで世界最終予選での五輪切符奪取の可能性が残った女子ライト級の代表候補、濱本紗也(20、日大)は、村田が2017年5月のWBA世界ミドル級暫定王者アッサン・エンダム(フランス)とのWBA世界ミドル級王座決定戦で、ダウンを奪いながら疑惑の判定で惜敗した時の心境を質問した。 「私自身も勝っているかと思いましたが、第三者から見た結果ですので負けを受け入れる選択肢しかありませんでした。受け入れられないのであれば誰が見ても必ず勝っていたと言える内容を目指すしかない」 濱本は、五輪代表権を狙ったアジア・オセアニア予選の1回戦で微妙な判定で敗れ、最初の出場チャンスを失っていた。その判定結果に納得がいかなかっただけに村田の返答で心が晴れた。 「村田選手に質問させていただいたことで、満足にボクシングの練習が出来ない中、不安に思っていたことや、今まで自分だけじゃ答えが出なかったこと、自分の中で納得できなかった部分が納得でき、落とし込めたように思います」 1年延期でモチベーションをどう保つかに悩んでいたボクサーにとって村田の言葉は、まさに金言だった。 日本女子として初の五輪出場を自力で決めたメダルの最有力候補でもある女子フライ級の並木月海(21、自衛隊体育学校)も感動していた。 「オリンピック延期という状況になり、自分自身、延期前と同じモチベーションで今からやって本番まで持つか、と凄く悩んでいました。村田選手が、切らさず程度で、今から延期前と同じでは難しいと言われて少し安心した気持ちになりました。オリンピックで活躍するためにすること、そして、オリンピックがゴールではなくスタートでもあることも分かりました」 村田の講義の中では、2つの言葉が印象に残ったという。 ひとつは、「試合で練習通りなんて出来ない。でも練習した事しか試合では出せない」との言葉。そして、もうひとつが、「泥臭くても構わない。勝たなければだめだ」という助言。 「分かっていたことですが、改めて気づかされました。オリンピックで金メダルを獲るにはどんなに泥臭くても、カッコ悪くても、“勝つ!”という強い気持ちなんだと思いましたし、自分もオリンピックまでに誰よりも練習したと胸を張って言えること、そしてリングの上で何がなんでも勝つ気持ちを持って戦えたらなと。今回の講義で聴いたこと、感じたことをこれからのボクシング人生に活かしていきたいと思いました」