五輪金&世界王者の村田諒太が1年延期とコロナ禍で苦悩の東京五輪代表選手の人生相談に乗る…金メダル獲得方法指南
日本ボクシング連盟は1年延期となった東京五輪の代表選手及び代表候補選手のモチベーションを維持させ、メダル獲得のための強化につなげようと18日、オンライン講座をスタートさせた。第1回の講師には、ロンドン五輪のミドル級金メダリストで現WBA世界ミドル級王者の村田諒太(34、帝拳)を招き、1時間以上にわたって講義及び選手との質疑が行われた。参加したのは男女10人の選手とコーチ、関係者。“ドン“山根明会長が連盟を退任したことで、絶縁状態だったプロアマの関係が雪解けとなり、現役の世界王者とのコラボが実現したもの。”村田先生”は後輩達に何を語ったのか?
「メダルがないと人生は変わらない」
“男・村田諒太”が悩める後輩のために立ち上がった。 「オリンピックは出場することで満足してはダメです。メダル獲得は大切ですが、メダルがないと人生は変わりません。メダル獲得を目指して欲しいのです」 WEBを使ったオンライン講座で五輪代表達に熱く語りかけた。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて東京五輪の1年延期が決定。日本ボクシング連盟は男女6人の代表内定者を、そのまま来年の五輪代表とする方針を固めているとはいえ、モチベーションの維持や、今後の強化方法など選手に戸惑いと苦悩がある。しかも、コロナ自粛で、ナショナルトレーニングセンターも使えず、ほとんどの選手が満足に実戦形式の練習ができない状況。また、いつどこで開催されるか未定の世界最終予選での五輪出場のラストチャンスにかける代表候補もいる。 日本ボクシング連盟は、漂う閉塞感を打ち破るために、オンライン講座を企画。その第一回目の講座に、過去2人しかいない金メダリストで現役世界王者の村田に協力を求め、村田も申し出を快諾した。 「自分の人生だから、自分が後悔しないようにやるべきだと思います。成功しても、失敗しても、責任は自分です。コーチでも監督でも、誰も責任は取ってくれません。自分が納得いくように練習をするべきです。また、正解、方法論(これは必要なのか等)を求める必要もなく、逆に、”何のためにやるのか”を大切にしてください」 哲学に通じ、五輪、プロで最高の結果を出し続けている超一流ファイターの言葉には説得力があった。 質問コーナーでは選手が積極的に手を挙げた。 村田と同じくミドル級での東京五輪代表に選ばれた森脇唯人(23、自衛隊体育学校)は、「私はスピードが落ちると思うので筋トレをしません。懸垂程度です。筋トレについて、どのようにお考えですか?」という質問をした。 村田は自らの体験を交えて「筋トレでベンチプレスなどの数値が上がっても、パンチ力に優位性は見られず、怪我も多いから柔軟重視のトレーニングに変えました。ですが、結果が出たことの根拠は、もしかしたら筋トレの要素もあったのかもしれないし、一概に、必要、不必要論では片付けられない。それよりも大切なのは、何のためにするのか、という目的だと思います」と答えた。 加えて、すべての選手に「フィジカルで勝てないのなら”フィジカルで勝負する”のではなく”違うところで勝負をしてみる”などの発想の転換が必要です」と勧めた。