富裕層に高い支持を受ける豪邸建築家・石井秀樹さんが最も感動したホテルはル・コルビュジエの世界遺産!
石井秀樹さんは、敷地のポテンシャルを見抜く卓越した力と、その魅力を最大限に生かしたプランで常に住み手に寄り添いつつ、圧倒的な美を兼ね備えた住宅を設計する建築家。旅先では、宿泊する空間だからといって特に意識する点はなく、普段どおり純粋に建築を観ることを楽しみに滞在しているという石井さん。 そんな石井さんが感動したホテル、さらにいつかの訪問を憧れている宿についてお聞きしました。 【写真で見る】建築家・石井秀樹さんが感動した海外のホテル、日本の宿
1.石井さんが海外で最も感動したホテル「ユニテ・ダビタシオン」(フランス)
ル・コルビュジエが設計した18階建て、計337戸を有する世界遺産の構成資産にもなっている有名な集合住宅が「ユニテ・ダビタシオン」。ヨーロッパに複数建てられていますが、最初につくられたフランス・マルセイユにあるこの「ユニテ・ダビタシオン」(1952年)が最も完成度が高いといわれています。 住戸は1人向けから4人向けまでの23タイプの多様なユニットが立体的に組み合わされったメゾネットになっており、7階・8階には店舗や郵便局など、屋上には保育園、体育館、プールなども併設されました。 1961年には3階、4階部分の当時空室だった住居を利用してホテルが開業しており、現在でも「ホテル ル コルビュジエ」として営業。一般客の宿泊が可能です。 「学生の頃に放浪の旅をしていた際に宿泊しました。言わずと知れたコルビュジェが設計した集合住宅ですが、現在は宿泊できる部屋があります。コルビュジェの建築を宿泊して生で体験できることからそれだけでも心が躍り、モデュロールでできている内部寸法をそこかしこでスケールを当てて測っていたことを思い出します。まさにコルビュジェという非日常体験の一方で、連泊をした際に住民の方に調味料を借りたりと日常体験も併せて体験でき、その後の自分の建築にも影響した体験だと思います」
2.石井さんが国内で最も感銘を受けた宿「伊豆修善寺温泉 柳生の庄」(静岡)
伊豆修善寺温泉の名宿として知られる「柳生の庄」は、その建築や設え、庭など名工の技が光る見どころが多数あります。 「左官職人の久住章さんが大規模な改修工事を手掛けられた旅館です。仕事をご一緒する際に参考に久住氏と一緒に宿泊し、左官のみならず建築の素材選定からディテールへと隅々までご本人に解説をいただき、数寄屋建築を堪能する貴重な体験をしました。特に左官で研ぎ出した露天の湯舟は圧巻で。そこから連続する季節ごとの風情を感じられる庭も建築と一体となり、素晴らしい空間体験でした」