２００８年北京オリンピック（五輪）混合ダブルスで金メダルを獲得した李龍大（イ・ヨンデ）と李孝貞（イ・ヒョジョン）。李龍大はバドミントン協会のミスでドーピングテスト故意回避判定を受けて１年の資格停止懲戒を受けたことがある。中央フォト

米国プロスポーツリーグで、選手たちは自身の権利（お金）のために何度もストライキをした。リーグあるいは球団オーナーは職場閉鎖で対抗した。時には選手が、時には球団オーナーが勝ったが、全般的には選手たちが勝利した。選手たちに対する報奨が増え、人気は上昇していった。 私たちがパンを食べることができるのはパン屋の店主の利己心のためというアダム・スミスの言葉のように、スター選手たちの欲がそのスポーツを育てた。 バドミントン協会は不人気種目の特殊性を強調する。あわせて年俸上限制、（事実上の）国家代表義務服務制、（事実上の）個人スポンサー禁止などの条項を守っている。他の種目では奴隷契約論争が起きて消えつつある毒素条項だ。 協会は不人気種目なので一部のスター選手が犠牲にならなければ実業チームを維持することができずジュニア選手の育成も難しいという。基盤が崩壊して結局バドミントンが滅びるという。１９９６年アトランタ五輪金メダリストの方銖賢（パン・スヒョン）は「すべての選手が『このような環境』で太極マークをつけてプレーしている」と話した。 しかし不人気種目だからスターが犠牲になるのではなく、不人気種目だからこそ、久しぶりに登場したスターをもっと大切に育てなければならない。２０世紀末、方銖賢の人気は今の安洗塋よりも高かったと記憶している。彼がその時、協会というくびきを断ち切って出ていたとしたらどうなっていただろうか。今も選手たちは「このような環境」で太極マークをつけてプレーしていただろうか。 実力がないのは協会だ。元東亜日報記者のキム・ファソンは新東亜に「卓球スターの申裕斌（シン・ユビン）は年俸が２億４０００万ウォンに達する。広告出演も１０カ所を超える。各種行事出演料もかなりになる。これほどの代表選手を解放した卓球協会の経営は不思議とびくともしない。バドミントン人口は卓球人口よりもはるかに多い」と話した。 アマチュア協会なのでマーケティング能力不足はそうだとしてさて置き、競技力と密接な関係にある靴やラケットも好きなブランドを使えなくした点は驚くに値する。 安洗塋は最近のコメントで「私はバドミントンが不人気種目だは思わないが、より良い方向に変化していけば、今よりももっと多くの国民が楽しむスポーツになることができ、才能ある人材もたくさん流入すると思う」と話した。この言葉に同感する。 オーストラリアには「背の高いケシ」文化がある。社会には調和とバランスが重要なので、グループからひとつだけ突出して飛び出た背の高いケシは間引かなくてはならないという考えだ。２０１６年大韓体育会と国民生活体育会が統合された後、バドミントン協会をはじめとする一部種目の協会にこのような情緒が残っているようだ。 自分たち同士で仲良く生きていくことができるならそうしてもかまわない。しかし、五輪のような国際大会をしてみると実力が露呈する。世界舞台で競争する“背の高いケシ”を間引きしてしまえば、背の高い遺伝子は消えて結局ケシ群落の平均の高さは少しずつ低くなるだろう。 韓国でバドミントンは五輪メダル種目ではなく、純粋な生活体育種目になり、公式スポンサーの代表チーム支援金はますます減るだろう。すでにバドミントン協会は“背の高いケシ”李龍大（イ・ヨンデ）を間引きしてしまった。今回、安洗塋まで間引いてしまえば韓国バドミントンの未来はない。若い有望株たちはどうせこんなものかと考えてしまうようになるだろう。両親は子どもにバドミントンをさせようとはしなくなるだろう。セリ・キッズの両親に聞いてみるといい。 安洗塋はバドミントン協会の助けを借りて成長した。安洗塋に「システムで成功して成長したのに、今度はそのシステムを蹴飛ばそうとする」という批判がある。しかしそのシステムというのは、このように飛び抜けた選手を１人でも育成しようとして作られたものだ。 協会は安洗塋に借りを返せと言うべきではない。安洗塋はバドミントン協会に借りなどない。安洗塋は２８年ぶりに女子シングルス金メダルを獲得した、それ自体でバドミントンに何倍も恩返しをした。 記者が知っている限り、バドミントン人は「利己的に金儲けをするのであれば、安洗塋は人気スポーツであるゴルフをやるべきだった。なぜバドミントンをするのか」と言う。しかし、ゴルフを人気スポーツにしたのは、パク・セリのサングラス・ストライキのような利己心だった。