60歳定年を過ぎても働きたいです。60歳以降に給与が減ると給付が受けられることがあると聞いたのですが、どのような制度ですか? (2)高年齢雇用継続基本給付金について
60歳以降、給与が大幅に下がった場合に支給される雇用保険の高年齢雇用継続給付。 前回の(1)では、高年齢雇用継続給付の概要について取り上げましたが、今回はそのうちの「高年齢雇用継続基本給付金」の詳細について取り上げます。
高年齢雇用継続基本給付金の支給要件
高年齢雇用継続基本給付金は、図表1の(1)~(4)の支給要件をすべて満たしている場合に支給されます。
(1)のとおり、失業給付の基本手当を受給していないことが前提で、60歳の定年後も再雇用されて継続勤務し、大幅に給与が下がった人が対象になっているといえます。 (2)の「みなし賃金日額」とはいったい何かというと、実際は離職していないものの、その雇用保険の被保険者の60歳に達した日を離職の日とみなして算定した賃金日額の相当額です。 直前の6ヶ月間の総支給額(保険料等の控除前の額で賞与は除外)÷180の額がみなし賃金日額となります。 これに30を掛けることで月額に換算します。60歳に達した日において(4)を満たさず、雇用保険の被保険者であった期間が5年未満であるときは、5年に達した日を離職日とみなして、みなし賃金日額を算出します。
高年齢雇用継続基本給付金が支給される期間と支給額
高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月までの支給対象月に支給されることになっています。支給対象月とは、初日から末日まで、雇用保険の被保険者であり、かつ、介護休業給付、育児休業給付、出生時育児休業給付金を受け取ることができる休業をしなかった月のことを指します。 支給期間の範囲は60歳時点で5年以上被保険者であった期間がある場合は、60歳到達月~65歳到達月が支給期間です。60歳到達後に被保険者であった期間が5年に達した場合は、その5年の到達月から65歳到達月までが支給期間となります。 各支給対象月の高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月の賃金に支給率を掛けて算出されます。その支給率については、賃金の低下率によって異なっています(図表2)。