「合理的にいうと料理ってする必要がない」スープ作家・有賀薫さんがそれでも料理をする理由
クックパッドのポッドキャスト番組「ぼくらはみんな食べている」。食や料理に熱い思いを持ち活躍するゲストを迎え、さまざまな話を語ります。クックパッド初代編集長の小竹貴子がパーソナリティを務めます。今回のゲストは、スープ作家の有賀薫さんです。 ◇ ◇ ◇
クックパッドのポッドキャストがスタート!
クックパッドの小竹貴子です。私は石川県金沢市で生まれ、米屋を営む両親の元で育ちました。料理は作るのも食べるのも大好きです。
クックパッドは1998年3月に生まれ、今年で27年目になりますが、私は3人目の社員で初期メンバーです。クックパッド初代編集長で、今は広報部門の本部長をしています。 この番組では“料理が楽しみになる世界”を作り出すために人生を費やしている素敵な人たちの想いを伝えていくために、クックパッドのPodcast『ぼくらはみんな食べている』を始めました。今回のゲストは、スープ作家の有賀薫さんです。
「おいしい」と言われたときのうれしさは特別
小竹:有賀さんはどういったご家庭で育ったのですか? 有賀さん(以下、敬称略):私は1964年生まれの東京出身で、普通のサラリーマン家庭で育ちました。私と2つ下の妹、その下の弟の3人兄弟と両親の5人家族で、家族みんなが人を呼んでくるのが好きなため、とにかくお客さんの多い家でした。あと、父の兄弟6世帯が全て同じ敷地に住んでいました。 小竹:そんなことがあるんですね。 有賀:叔父や叔母が一緒の敷地にいて、事あるごとに集まって宴会をする。玄関を開けるといつも知らない靴が並んでいて、母はとにかく料理を作って出していたので、それなりに上手でしたね。 小竹:そういった環境にいたのであれば、すごく上手だったと思いますよ。 有賀:叔母たちがすごく料理上手でした。普通の家庭料理だけど、組み合わせもセンスが良くて、雑誌に出てくる新しい料理もすぐに試す。アンテナを高くして作っているので食べるのが楽しかったし、みんなでワイワイしながら食べるから、食べることを嫌いになるわけがないっていう。 小竹:じゃあ、作るのはそこで覚えた感じですか? 有賀:そうですね。料理に興味を持って、母の料理本を一生懸命見ているような子どもでした。図書館に行ったときも料理の本を借りていましたね。 小竹:子どもの頃から? 有賀:メアリー・ポピンズとかの子ども向けの料理本を読んで「これを作ってみたい」などと感じ、お菓子作りから最初はスタートしました。 小竹:どんなお菓子を作ったのですか? 有賀:型抜きクッキーを作って大分に住む祖父母に送ったら、「とてもおいしかったよ」って電話があって、そのときに気分がすごく高揚したんです。「人に料理を作るのってこんなに楽しいんだ」と感じて、そこから料理にハマっていきましたね。 小竹:ちゃんと料理を作るご家庭で育ち、自分も子どもの頃から作るという感じだったんですね。 有賀:はい。父も缶詰の製缶会社に勤めていたので、職業柄、食に関心を持っている人でした。 小竹:まさに料理家族ですね。 有賀:環境としてはとても良かったとは思います。 小竹:羨ましいです。うちは母親が料理嫌いだったので…。 有賀:え?小竹さんは素敵な料理をいっぱい作っているのに? 小竹:私は結婚して初めて料理を覚えたので、有賀さんとは真逆ですね。 有賀:やっぱり仕事って人を作るんですね。 小竹:夫に「こんなにおいしいものは食べたことがない」と言われたのが、料理にハマるきっかけでしたね。 有賀:人においしいと言われたときのうれしさはやっぱり特別ですよね。