子宮頸がん予防のHPVワクチン「公費の追加接種」低迷 静岡県内で周知促す、相談体制も整備
1997~2007年度生まれの女性 1~2割と低迷
子宮頸(けい)がんを予防する「HPVワクチン」の積極勧奨が控えられた時期に定期接種の対象だった1997~2007年度生まれの女性に、国が接種機会を追加提供する「キャッチアップ接種」の県内での接種率が、1~2割程度と低迷している。公費接種の時限である来春までに全3回を終えるには9月までに1回目を済ませる必要があるが、認知度の低さが課題になっている。日本の子宮頸がんの発生率は先進諸国の中でも高く、医師や市町は「何とか情報を届けたい」と啓発に注力している。
キャッチアップ接種の対象者は本年度中に17~27歳になる女性で、県内では15万人程度(接種済みの人も含む)。県感染症管理センターによると、2023年度の1年間で初回接種をした人は9800人で、人口を母数にした単純計算だと6・4%だった。県産婦人科医会が初回接種者の累積割合を分析したところ、01年生まれが14・7%と最も低く、02年生まれが18・4%、03年生まれが19・9%と続いた。 積極勧奨は13年6月に控えられ、国内の接種率は70%から1%未満に急落した。22年4月の再開を受け、一部の市町では通知書の送付にとどまらず、SNSへの広告掲示など情報発信に努力してきたが、大学3、4年や新社会人の年代の接種率は低い。同センターが今春実施した該当世代への職員アンケートでは、回答者の2割がワクチンそのものを知らず、知っている人でもキャッチアップ接種を知らない人は3割と、認知度不足が明らかになった。知っていても接種しない人の4割は「副反応への心配」を理由に上げた。 同医会と静岡産婦人科学会は5月、特設ページを開設し、ワクチン接種可能な医療機関を検索しやすいよう一覧にした。接種後の症状だけでなく、恐怖感などにより気分不良や失神を生じる「予防接種関連ストレス反応(ISRR)」も含めて、県が東中西部に協力医療機関を指定するなど相談体制を整えている。 平日多忙な人に利用してもらおうと、静岡赤十字病院(静岡市葵区)は今年から、毎月の第4日曜日に接種会場を開設した。同病院の副院長で県産婦人科医会がん対策委員長の市川義一医師は「接種するかどうかを自分で決められるよう、正しい知識と情報を対象者に届けたい」と話す。副反応についても「HPVワクチン自体に心配される重篤な副反応はなく、ストレス関連反応として生じたものを合わせても発生率は0・002%で、ほかのワクチンと同じ」と話す。