サッカー日本代表、中国戦の大勝で浮き彫りになった最終予選における「難問」
前半12分の先制ゴールに加え、同45+2分に2点目のゴールが決まった時点で、事実上勝負は決したと言っていいだろう。 大差のついた試合にありがちな、ただ得点だけが次々に入る緩い内容に終始したわけではなく、中国にほとんど何もさせずに勝ちきった日本の戦いぶりは、評価に値するものでもあった。ひと言で言って、日本は強かった。 ただし、この大勝を手放しに喜んでいていいのかという問題は、その一方で厳然と残る。 ワールドカップ本大会へ向けた強化という意味では、残念ながら最終予選が有効な機会とはなり得ないことが、図らずも示されてしまったからだ。 来年6月まで、貴重な国際Aマッチデーを費やして行なわれるにもかかわらず、である。 だからこそ海外組には、それぞれが所属クラブで個の成長を果たし、ひいてはそれを日本代表の強化に還元してもらわなければならない。 今後、UEFAのチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグに出場する選手は、所属クラブの主力であればあるほど、過密日程のなかで多くの試合をこなすことが求められる。週2試合が続くのは当たり前の日程である。 その間、7-0で勝ってしまうような試合のために10時間を超える長距離移動を強いることが、はたして本当に必要なことなのかどうかは、もっと考えられなければならない。 日本代表に拘束力があろうと、選手それぞれの試合日程を考慮し、休ませる時は休ませ、所属クラブでの戦いに集中させる。そうした配慮こそが、むしろ日本代表の強化につながるのではないだろうか。 いかに日本が優れた内容で相手を圧倒しても、その試合のためにケガをしたり、コンディションを崩したりして、所属クラブで長期離脱するようなことにでもなれば、こんなばかばかしい話はない。 もちろん、これからの最終予選の試合が、すべて中国戦のようなスコアになるわけではないだろう。辛勝どころか、勝ち点を落とす試合があるかもしれない。 しかし、だからといって、日本をねじ伏せるだけの力を持った相手との対戦が続くわけでもない。 たとえば、アジア最終予選とCL。どちらの試合が選手個人の成長にとって有用であるかは、考えるまでもないだろう。 2年後のワールドカップ本大会を見据え、最終予選をどう進めていくべきか。 中国戦の大勝は、日本が強くなったがゆえの難問を突きつけている。
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki