「米政権と緊密に対話」 韓国野党「共に民主党」幹部、日米韓への悪影響を否定
【ソウル=時吉達也】尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の早期退陣が現実味を帯びる中、次期政権を担う可能性が高まる革新系最大野党「共に民主党」幹部の李彦周(イ・オンジュ)議員が11日までに韓国国会で産経新聞の取材に応じ、同党が「非常戒厳」解除後に米バイデン政権側と「非常に緊密な対話」を進めていると強調した。「韓日関係、韓米日協力の重要性を十分に認識している」とも述べ、日韓関係悪化に対する懸念の払拭に努めた。 李氏は共に民主党「最高委員」(7人)の一人。次期大統領の筆頭候補に挙げられる李在明(イ・ジェミョン)党代表に近い「親明」派として知られる。 李彦周氏は3日夜の尹大統領による非常戒厳宣布を「テレビのニュースで知った」といい、事前の情報は一切なかったと証言。ソウル郊外の自宅を出発して国会に到着するまで1時間以上かかり、「武装警察とのもみ合いの末になんとか敷地内に入った直後、軍人を乗せたヘリコプターが到着する音が聞こえた。もう少し遅れれば国会に入れなかっただろう」と振り返った。 与党「国民の力」は7日の大統領弾劾訴追案の採決を欠席。弾劾を回避し「混乱の最小化」を図るべきだとの立場を取る。これについては「ただの時間稼ぎ」だと主張。2~3カ月政権を維持することで、「すぐに実施されれば完敗必至の次期大統領選を、少しでも有利に展開させる狙い」があると分析した。 国会の主導権を握る野党側に対しては、与党への責任追及を強める一方で事態収拾の現実的な方策を提示しないとの批判もある。李彦周氏は「尹大統領が2度目の戒厳宣布を行う可能性が排除できなかったため、緊急事態に備えることが優先だった」と釈明。今後、海外で懸念の大きい安全保障や外交、経済政策に関する政府・与党との協議体作りを急ぐ姿勢を示した。 「韓米同盟は極めて重要であり、同盟が重視する韓米日関係も非常に大切だ」。李彦周氏はこう強調し、共に民主党への政権交代が日米韓協力に悪影響を及ぼすとの見方を否定。むしろ尹氏の戒厳宣布が「自由主義の価値が普及し、アジアでの成功事例としてみられていた韓国の米国内でのイメージを傷つけた」と主張した。 ◇