「リモートワークの体で、実際は出勤していた」――立ちはだかる「昭和おじさん」の壁、ある地方公務員の告白【#コロナとどう暮らす】
特別定額給付金やマイナンバーカード発行業務の大量発生で、ただでさえ少ない職員が疲弊しているなか、7月には都知事選がやってくる。人海戦術が使えない上に、投票者の感染対策という課題もあり、都内の各役所は戦々恐々としているという。 「都知事選は、ただでさえ列ができるくらい投票者がきます。職員をどう配置するか。3密をどうやって防ぐのか。鉛筆も記入台も、消毒どうするの?って。もう、恐怖ですよね。今後は台風シーズン。防災、避難と感染防止についての課題が山積ですし。いやもう、有休どころか、土日もまともに休めるかどうか……」 聞いているだけでも大変さが伝わってくるが、安田さんは、「この仕事にやりがいを感じている」と胸を張る。 「一部を除いてほとんどの公務員は真面目で、人の役に立ちたいと考えて日々頑張ってます。役所は、一番市民の皆さんに近い職場。『おかげで助かりました』とか、『便利になったよ、ありがとう』という言葉や笑顔に触れるたびに、やっててよかったな、と思えるんですよ。当面は公務員の必須アイテム、ファクスとガラケーを使いながら踏ん張ろうと思ってます。早く手放したいですけどね」
投票所や避難所など、電話以外の連絡手段のない場所での任務に備え、多くの地方公務員はガラケーを手放せない。私用のスマホと使い分けるのが、せめてもの自衛手段だ。 「自腹で2台持ちが当たり前ですよ!」と両手に電話を掲げて笑う安田さん。 そのけなげな姿に、くれぐれも体には気をつけて、ゆっくりと休める日々が訪れますように……と祈る思いだった。