子どもが不登校でフルタイム断念→退職、休職して貯金取り崩し生活… 働き方やかさむ出費に苦悩する親たちの切実な声
有休を使い切り、貯金を取り崩して生活
それでも、精神的に不安定でトイレや入浴も1人ではままならない状態になった娘の世話と仕事の両立は難しかった。有給休暇を使い切り、本来は対象外だが特例で認められた介護休職を選んだ。半年間の働き方の変化で収入は約300万円減り、貯金を取り崩して生活した。
市長に訴えたけれど…
担任との関係に悩んだのをきっかけに3年前から不登校になった松本市の小学6年、佐藤晴人さんの母春子さん(46)。通い続けるのが難しかった教育支援センター(中間教室)について「小学校と同じ時間帯で開けられないか」「給食を届けられないか」「送迎バスを設けられないか」、不登校の子を持つ親が「仕事を続けられる支援を設けられないか」―。市政に関する提言や意見を市長に直接届ける「市長への手紙」でこう訴えた。
消極的に映った市教委の回答
2年半前に市教育委員会から書面で届いた回答は「利用時間の延長や送迎、昼食サービスは指導員の態勢などですぐの対応が難しい」「(民間の)バス停から1・2キロを歩いてほしい」「家から通える学校内にも中間教室がある」。学校に近づくことさえできない子を持つ春子さんにとっては消極的な姿勢に映った。
「何も変わっていない」
回答には「課題について、不登校支援の在り方を検討する」とあった。ただ2年たった今も「何も変わっていない」。佐藤さんは肩を落とす。
経済的な支援を検討
市教委は取材に「歩みは遅く、すぐの実現は難しいが支援の検討は進めている」と説明。フリースクールに通う子どもがいる家庭への経済的な支援を来年度に始められるよう、検討しているとした。 (文中仮名)