【ジャパンC】武豊ドウデュース「超スロー→最後方から差し切り」常識外れクビ差〝完勝劇〟の裏側
[GⅠジャパンカップ=2024年11月24日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2400メートル] 【写真】熱い抱擁を交わす武豊とイチロー氏 国内外の強豪が集ったGⅠジャパンC(24日=東京芝2400メートル)は、1番人気のドウデュース(牡5・友道)が天皇賞・秋に続いてGⅠ2連勝。5つ目のタイトルを積み重ねた。決して楽なレース運びで繰り出されたものではなかった驚異の末脚は32秒68(トラッキングシステムでの参考記録)。秋古馬3冠全制覇の偉業まで「あと1つ」だ。 「ホッとしています」 レースを終えた武豊は安堵の表情を浮かべた。先行馬が少なく、道中はかなりのスローペース(1000メートル通過62秒2)。その中で武豊とドウデュースは最後方を選択した。さすがに序盤はかかり気味。「みんなはレースにしびれたと思うけど、俺は手がしびれたわ(笑い)」と〝ユタカ節〟で振り返ったように、決して楽なレースではなかった。 4角で徐々にポジションを上げ、直線でゴーサインを出すと一気に先頭へ。最後はシンエンペラー、ドゥレッツァとの追い比べを制した。 「勝てるかは最後まで分からなかったですが、4角を回る時の脚がすごかった。一瞬にして先頭に立てたので。普通の馬ならバテるんですが、この馬ならなんとか持ってくれるんじゃないか、持ってくれと思って乗っていました」 昨年の有馬記念はひとマクリで勝利。前走の天皇賞・秋のように切れる脚も使えるが、いい脚が長く続くのがドウデュースの強みだ。天皇賞以上にスローペースだったこともあり、この馬としては早めの動きだし。それでも先頭を譲らずにGⅠを連勝した。着差こそわずかでも、その内容は濃い。「最後の1ハロン、みんなが止まりかけているところで止まらない」。鞍上が言うこの馬の武器が、〝クビ差〟の完勝を生んだ。 このままいけばGⅠ有馬記念(12月22日=中山芝内2500メートル)で引退の日を迎える。「順調なら(秋の)3走で終わりと聞いた時に、3つとも勝ちたいという気持ちがありました。あと1戦で終わりというのはとても寂しいですが、一戦一戦を大切に、かみしめるように乗っています。馬が無事なら出走して、有馬記念を勝って締めくくりたいという気持ちはものすごく強いです」。ラストシーズンにして、これまで以上の強さを見せているドウデュース。国内外の強豪を撃破した〝日本の総大将〟は、ラストランでも衝撃の強さを見せつけてくれるはずだ。
三嶋 まりえ