夫に先立たれた妻の生活は「遺族年金」で保障されるのか。5年ルールも見直しへ
一家の大黒柱である夫が死亡した場合、残された家族にとって遺族年金は貴重な収入です。 ◆【写真でみる】遺族年金はいくら受け取れる?夫が自営業だった場合は年額81万6000円 ただし、遺族年金だけで妻や家族は生活できるのでしょうか。 本記事では、夫死亡後に遺族年金で妻の生活が保障されるかどうかについて解説します。 2024年度の財政検証を受けた遺族年金制度見直しの方向性についても紹介しますので、万一に備えて内容を確認しておきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
遺族年金には2種類ある
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。 まずは、夫に先立たれた妻に支給される遺族年金について解説します。 ●遺族基礎年金は子どものいる妻に支給される 夫が死亡し18歳まで(※)の子どもがいる場合、夫が保険料の納付要件などを満たしていれば、残された妻には遺族基礎年金が支給されます。 ※18歳になった年度の3月31日までの子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子ども。 ●遺族厚生年金は夫が厚生年金に加入していると妻に支給される 死亡した夫が会社員で厚生年金に加入して一定要件を満たしていれば、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。 子どもがいない場合も、遺族厚生年金は支給されます。 遺族厚生年金は原則一生涯支給されますが、夫の死亡当時「子どものいない30歳未満の妻」のみは5年間しか支給されません。これを「遺族年金の5年ルール」と呼びます。
自営業の夫が死亡した場合の妻に支給される遺族年金
死亡した夫が国民年金にのみ加入していた場合、子どもがいれば遺族基礎年金が支給されます。 支給額は、前述の要件に該当する子どもの人数に応じて次の通りです。 ・遺族基礎年金額=81万6000円(2024年度)+子どもの加算額 加算額は、1人目と2人目の子どもは1人あたり23万4800円、3人目以降は7万8300円です。 18歳までの子どもが1人いる場合、子どもが高校を卒業するまで年間105万800円の遺族基礎年金が支給されます。 子どもと2人暮らしする場合の生活費は、遺族基礎年金だけでは賄えません。 また、子どもが高校を卒業すると遺族年金は支給停止となります。子どもの独立後に夫が死亡した場合は、遺族年金はまったく支給されません。 夫が国民年金にしか加入していない場合、遺族年金によって妻の生活が保障されるとは言い難いのが現実です。 ここまで、国民年金に加入していた夫が死亡した場合の妻の保障について解説しましたが、次章では会社員の夫が死亡した場合の保障について解説します。 遺族年金制度見直しの方向性についても紹介します。