夫に先立たれた妻の生活は「遺族年金」で保障されるのか。5年ルールも見直しへ
会社員の夫が死亡した場合の妻に支給される遺族年金
会社員の夫が死亡した場合、残された妻には遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。 子どもがいない場合でも、遺族厚生年金は支給されます。遺族厚生年金の支給額と支給期間などについて確認しましょう。 ●遺族厚生年金の基本額 遺族厚生年金の支給額は、夫の厚生金加入中の収入や加入期間によって異なります。 基本金額は、夫の老齢厚生年金の支給額によって原則次の通りです。 ・遺族厚生年金額=老齢厚生年金額×3/4 ※厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。 老齢厚生年金額が160万円の場合、遺族厚生年金額は120万円です。 ●子どものいる妻に支給される遺族年金 会社員の夫が死亡した場合、子どものいる妻には遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。 子どもが1人、老齢厚生年金額が120万円の場合、妻に支給される遺族年金額は次の通りです。 ・遺族年金額(子どもが高校を卒業するまで)=遺族基礎年金額(105万800円)+遺族厚生年金額(120万円)=225万800円 子どもが高校卒業後に遺族基礎年金は支給停止されますが、65歳まで中高齢寡婦加算(2024年度は61万2000円)が支給されるため、65歳までの遺族年金額は次の通りです。 ・遺族年金額(子ども高校卒業後から65歳まで)=遺族厚生年金額(120万円)+中高齢寡婦加算(61万2000円)=181万2000円 中高齢寡婦加算は65歳までです。妻の年金が老齢基礎年金(80万円)だけの場合、65歳以降の妻の年金額は次の通りです。 ・65歳以降の妻の年金額=遺族厚生年金額(120万円)+老齢基礎年金額(80万円)=200万円 遺族厚生年金額は夫の厚生年金加入状況によって大きく異なりますが、遺族年金は原則一生涯受け取れるため、会社員の妻には一定の生活保障があると言えます。 ●遺族厚生年金の5年ルール 遺族厚生年金は原則一生涯ですが、夫が死亡時に「子どものいない30歳未満の妻」については5年間しか遺族厚生年金が支給されません。 この仕組みを「遺族厚生年金の5年ルール」といいます。 まだ若いので、年金に頼らず自分で働いて生活してください、ということです。 2024年度の財政検証を受けて、厚生労働省では5年ルールの見直しを検討しています。 女性の就業率がアップし生活力も高まったことから、5年ルールを拡大して「夫死亡時の年齢が60歳未満の妻」に適用しようというものです。 18歳までの子どもがいる場合は例外で、従来通り遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。 ただし、子どもが高校を卒業していると遺族厚生年金は5年で打ち切りとなります。