カラオケ中…「呂律が回ってない」友人が気付いた異変。その後意識を失い…34歳で体験した脳出血とその後遺症に向き合う強い思い
左半身に麻痺、そしてリハビリへ
脳出血の後遺症として、いずみさんには左半身に麻痺が残ってしまいました。 「1人でベッドから立つことができない。歩こうとしても足が出ない。体幹も麻痺していて座っていることすらできない。1人でトイレに行くこともできない。今まで当たり前にできていたことが何ひとつできなくなってしまったので『この先どうやって生きていけばいいんだろう?』と、とてつもない不安に襲われました」とそのときのことを語ります。 中でも「オムツは本当にキツかったです」と…。 その後いずみさんは、リハビリ病院に転院し本格的にリハビリを始めます。左側が全然動かない、立てない、歩けない状態からのスタートでした。 「俺はこんなところで終わるわけにはいかない。早く退院して自分の足で彼女に会いに行くんだ!ってのをモチベーションに頑張りました!」と、当時の自分を奮い立たせていたといいます。 また、スニーカーが大好きないずみさんには「エアフォースワンをまた履きたい」という目標もありました。
現在の仕事について
脳出血発症前は現場監督として働いてたいずみさんでしたが、元の会社に復職はできました。また、麻痺だけではなく、後遺症で高次脳機能障害も残ってしまっていたため、退院後は就労移行支援で10ヶ月訓練をしたといいます。 その後、現場監督としての復帰は難しいと判断。現在は現場監督の経験を活かし、元の会社で若手の育成や各現場の書類チェックなど、サポート役として働いています。 さらに隔週土曜日には、喫茶店でアルバイトをしているといういずみさん。その喫茶店では、脳出血、脳卒中の当事者の方々が働いており、アルバイトを始めた理由は「若い当事者の人たちともっと繋がれたらいいな」ということからでした。 いずみさんが就労移行支援で訓練をしていた際、当事者の人とたくさん出会いましたが、自分よりも若い人がいたことに気づいたそう。 「若い当事者とは、これまで普通に生活していても出会うことはほとんどなかった…」という思いからアルバイトを始めたといいます。 今では、遠くからきてくれる方もいるそうで「当事者だから分かり合えることもあります。ぜひ遊びにきてください」といずみさんは笑顔で呼びかけていました。 ※高次脳機能障害…脳梗塞やくも膜下出血といった脳血管障害や、事故などによる脳外傷、心肺停止による低酸素脳症などで脳がダメージを受けたことにより、注意力・記憶力・言語・感情のコントロール等がうまく働かなくなる認知機能の障害。