多くの美容クリームがあるのに「合うものがない」と思うのはなぜ?化粧品研究・開発者が教える、原因と選び方。肌質変化の<ストライクゾーン>を意識して
◆肌質の変化のストライクゾーンを知る 私たちが美容クリームに抱く「合うものがない」という不安感。 それは肌環境の変化よりも速く肌を変えることが「できそうにない」という不安感だと表現できます。 逆に言えば、環境の変化よりも速く肌を変えることができる美容クリームであれば安心できるということです。 となると、その美容クリームの性能だけでなく、使い方も重要になってきます。美容クリームに必要な性能は2つです。 ・「肌質の変化の幅」をすべてカバーできること ・「肌質の変化の幅」を超えてしまった場合の対処法があること 「肌質の変化の幅」とは、「乾燥肌」と「しっとり肌」の変化の幅のことです。この変化の幅は季節によっても変わり、年代によっても変わります。 目のまえの美容クリームになんとなく抱きはじめる不安感は、その美容クリームがカバーできる肌質の変化の幅を超えてしまった場合の対処法が見当たらないからです。 ということは、変化の幅の中央値(ストライクゾーン)がとても重要になります。 その美容クリームが、その変化の幅の片方だけをターゲットにしている場合、たとえば極端に乾燥した場合だけをターゲットにしていると、変化の幅の逆サイド(しっとり側)をカバーできなくなります。 購入する美容クリームの目指す肌質は最小値と最大値の間、つまり肌質の「ストライクゾーン」を狙うべきです。 それはもしかしたら「もの足りない」と言われているゾーン(肌感覚)にあるのかもしれない、と私は感じています。 「これは少しもの足りない」と感じる美容クリームが、もっとも最適な美容クリームである可能性が高いです。
◆「肌を甘やかさない」美容クリーム選びを しかしマーケットにはすごくしっとりさせたいというニーズに合わせて、しっとり感を最大値にした美容クリームであふれています。ヒアルロン酸やコラーゲンたっぷり、といったような。 次の図は季節や年代による肌質の変化の幅と、それぞれのストライクゾーンの位置をイメージしたものです。 波線が肌質の変化の幅です。もし美容クリームがこの波線の左端、つまりしっとりの最大値を目指して作られたものだと、肌は保湿成分が常に十分にあると勘違いし、いつまでも保湿成分の自己生産を再開しません。 変化できる幅はどんどん狭くなり、ちょっとした環境の変化でも対応できない肌になってしまう危険性があります。 美容クリームの対応する肌質をストライクゾーンに合わせるということは、多くの場合しっとりから乾燥側にシフトすることになり、そうしたクリームには「もの足りなさ」を感じてしまいます。 しかしそうした「肌を甘やかさない」美容クリーム選びは、長い目で見れば長期間適度なしっとり感を維持してくれます。 ストライクゾーンを中心に、時には肌に適度な乾燥を与え、保湿成分の自己生産も促し、しっとり感が強い時は少なめに、乾燥が強すぎる場合はクリームを多めに、それでも乾燥する場合は高保湿のクリームで、というようにコントロールできる美容クリームがまずは必要になります。