障がい者の月収を月1万から10倍以上に! 売上18億を達成した「久遠チョコレート」。夏目代表に聞いた“未経験”から美味しいチョコが生まれる理由
“単純な考え”を広めたい。上場で社会にインパクトを
インタビューの最後に聞いたのは、久遠チョコレートの今後の展望。夏目代表からは、上場への思いとその背景も語られました。「うまくいかないことや得手不得手を『いいんじゃない? 』と許せるかが重要なのだと思います。きれいごとばかりではやっていけないし、現場でも日々いろいろな課題が生じるけれど、ちゃんともがいていくことを大切にしています。上場を目指しているのは、もっと単純な考えを世の中に広めたいからです。誰もが“1+1は? “と聞かれたら“2”と答えるはずなのに、難しい方程式を入れることで、“障がいがあるから1+1=1.4“みたいに0.6欠けてしまうのはおかしいですよね。障がいがどうこうとか関係なく、“働けばちゃんとお金がもらえる”シンプルな世の中になってほしいんですよね。ブランドの上場によって、 “いろんな人が働くことも、いろんな人が稼ぐこともできるんだ”と社会にインパクトを与えたいです」障がいの有無を特別に考えず、ただひたすら素材や製法を追求し、良さを活かして美味しい味わいを実現している久遠チョコレート。最後までこちらの話に何度もうなずき、言葉を拾いながら答える夏目さんの姿から、目の前の人に真摯に向き合う大切さを改めて学びました。夏目浩次 久遠チョコレート代表 1977年、愛知県豊橋市生まれ。大学・大学院でバリアフリー都市計画を学ぶ。2003年、豊橋市において、障がい者雇用と低賃金からの脱却を目指すパン工房を開業。より多くの雇用を生み出すため2014年、久遠チョコレートを立ち上げ、わずか10年で60拠点に拡大。第2回ジャパンSDG'sアワードにて、内閣官房長官賞を受賞。著書に『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』(講談社)がある。
ウフ。編集部 磯部美月