日本人クリエイターが見た、米国デジタルトレンドの“リアル”
日本のインタラクティブが世界で勝負するための武器と課題
では、このようなシビアが世界のインタラクティブ市場において、日本のクリエイティブは勝負できるのでしょうか。この点について、望月さんはSXSWの出展で得た経験をもとに、チャンスと課題を語ってくれました。 まず、日本が勝負できるポイントは、グローバルのトレンドの動き方だと望月さんは指摘します。インタラクティブの市場では、グローバルでひとつの大きな潮流が生み出されると、どの企業もそれに追随するビジネス的傾向があるのだそうです。その点、日本のクリエイティブが持つ独創性や未来感・先進性は、こうした世界のトレンドの傾向に一石を投じることができるチャンスを秘めているのだといいます。「日本のクリエイティブはUI・UXなどクラフトの完成度が非常に高い。プロトタイプの段階で超高いレベルで創り上げることができるものづくりの力は、間違いなく武器になるはずです」(望月さん)。 一方で、克服すべき課題は日本のクリエイターの“視野の狭さ”。生み出したクリエイティブをどれくらいの規模の人たちに届けたいのか、という視野が日本国内に留まっていることがまだまだ課題だといいます。「日本のクリエイターは“まず身近なところで市場を作ってみよう”という意識が強いが、一方でSXSWに参加するクリエイターたちは“世界を変えてやろう”という強い意気込みで挑戦しています。日本のクリエイティブそのものは高く評価されています。これに“世界で勝負する”という視野でサービス設計やビジネス戦略を考えていくことが重要ではないでしょうか」と望月さんは提言しています。 加えて望月さんは、日本がクリエイティブの世界でグローバル市場に勝負を挑むためのポイントとして、「テクノロジーは流行り廃りが速く、常に瀬戸際にいる状態。その中で、いかに人々のニーズの深いところにリーチできるかどうかが、重要になってくると思います。私自身も、ゆくゆくは社会のシステムに組み込まれてインフラや文化として根付くようなコミュニケーションや体験を生み出すことができればいいですね」と語りました。 (インタビュー・執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)