日本人クリエイターが見た、米国デジタルトレンドの“リアル”
オンラインサービスやガジェットといったインタラクティブなテクノロジーやクリエイティブの領域でものづくりに携わっている方の中には、「いつか、新しいアイデアを生み出して海外市場に挑戦したい」という夢や野望を抱いている人も多いのではないでしょうか。しかし、海外のインタラクティブ市場がどのような雰囲気で新しいアイデアを迎えているのか、その実態はなかなか日本にいてはわからないのが現状です。クラウドファンディングによって新しいアイデアが次々に製品化されているニュースを見て、“斬新で面白いアイデアを積極的に受け入れる文化がある”というイメージを持っているかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。 今年3月に米国テキサス州のオースティンで行われたデジタル・インタラクティブの大規模展示会イベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に出展した、博報堂アイ・スタジオ HACKist(ハックイスト)のクリエイティブ・ディレクターの望月重太朗さんにお話をお伺いして、同氏がデジタル・インタラクティブのトレンドが生み出されるSXSWに参加して見た、米国インタラクティブ市場の潮流を紹介します。
SXSWはインタラクティブの“流行”と“衰退”が生まれる場所
まずは、今年行われたSXSWと日本企業の挑戦について振り返ります。 今年3月に行われたSXSWは、人気アーティストの「Perfume」がパフォーマンスを行ったことで日本のお茶の間でも大きく取り上げられましたが、デジタル・インタラクティブに関わる業界にとって、世界各国の企業が最新のアイデアを披露するこのイベントは、将来のトレンドを占う上で重要なものになっています。 かつては、このイベントからTwitterが世界に羽ばたき、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが後に伝説と語られるスピーチを行ったことでも知られており、このイベントで語られるトレンドや出展されるサービスが、数年後の世界のスタンダードになるかもしれないし、一方で世界に受け入れられなければ来年には姿を消しているかもしれない。世界を驚かせたあの「Google Glass」でさえ、登場からわずか1~2年で「失敗だった」と語られるような、“流行り廃り”に対して非常にシビアなイベントです。