BMWはクルマ界の「落合博満」!? 「走りがよければいいんだろう?」という声が聞こえてくる!! BMW440iMスホーツ試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
■「三百八十七馬力ステッカー」をサイドに貼りたい
今回の440iクーペ4WD車は1000万円オーバーだが、思えば昔の1000万円オーバー車に比べれば凄くよくできている。 私が20年ほど前に乗っていたベンツEクラスワゴンは980万円くらいだったが、ボディもエンジンの回転も重く、なぜこんなに高いのか?と思っていたものだった。 それが今、このクルマは夢のようによく走ってくれる。もしかしたら、1000万円レベルのクルマは実質的に安くなっているのかもしれない。 さて、ちょい乗りでは「必要ない」と判断した私だったが、本格的に走らせると、その気持ちよさに唸ってしまった。 やはりエンジンが素晴らしい。コーナリングも下道のカーブごときでは評価のしようもない。BMWにとっては爪楊枝をくわえてシーハーしながら歩いているようなものである。 さすがはクルマ界の落合博満。走りに関しては文句のつけようがない。 一方、387psの過剰さは否めない。おそらくこのクルマを買った人のほとんどは、売るまでフルパワーを使わないのではないか。いっても200psくらいだろう。 そんなことを考えていると、このクルマは「440i」ではなく、ズバリ「387馬力」という車名にするべきではないかと思えてきた。 サイドボディに大きく、漢字で「三百八十七馬力」と表示してほしい。その夢のような数字を前面に押し出してほしいのだ。 「BMW公認三百八十七馬力」このクルマの価値はここに集約されていると思っていいだろう。 ちょい乗りではわからなかった走りの魅力が全身に突き刺さった。運転していると自分の価値観さえ変わるような気がした。走りで人生観を変えてしまうとは、BMW恐るべしである。 世界の自動車メーカーがEVの覇権争いをしているなか、BMWは直6ガソリンターボでワインディングをぶっ飛ばすためのクルマを作って売っている。 もちろん、BMWもEVの開発に余念はないはずだが、「走り」へのこだわりはまったくブレていない。こんな頑固なメーカーが日本にもひとつくらいあってほしいものである。 (写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)