近海郵船、コンテナ船大型化。150→400TEU型、モーダルシフト需要視野
近海郵船は運航するコンテナ船を大型化する。150TEU型「はるかぜ」のリプレース(代替建造)で、400TEU型を船主起用で整備中だ。大型化は従来の国際フィーダー輸送への対応に加え、物流の「2024年問題」を背景にした、モーダルシフト需要を取り込む狙いがある。 今回のリプレースでの建造造船所は三浦造船所(大分県佐伯市)。竣工は2025年12月を予定。国内船主の浜野海運(香川県小豆郡)から定期用船する形で新造整備する。 近海郵船は「はるかぜ」を02年に船主起用で整備した。船齢が20年を超え高齢化し、このほどリプレースを決定した。 「はるかぜ」は仙台―東京・横浜航路で、独ハパックロイドや邦船大手のコンテナ船事業統合会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)向けのフィーダー輸送に従事している。 新造船は400TEU型で「はるかぜ」からTEUベースで約2・7倍に大型化。従前のONEなどからのフィーダー輸送に加えて、トラックドライバーの労働時間規制強化を背景にした内航海運へのモーダルシフトにも対応していく。 菊池祥貴常務取締役は「このリプレースを機に、有望な航路を選定した上で国内貨物のモーダルシフト需要の取り込みを積極化したい」と語る。 近海郵船の船隊規模は9隻。内訳はRORO船8隻、コンテナ船1隻。自社船はRORO船4隻で、それ以外が定期用船となっている。 内航海運へのモーダルシフトを巡っては、昨年10月に国土交通省がトラックドライバーの労働時間規制強化が近づく中で、今後10年程度で鉄道や船舶の輸送量・輸送分担率を2倍に増やす目標を掲げている。 規制が発効している現時点で陸送から内航海運への大きなモーダルシフトは起こっていないとの見方が大勢を占めるが、今後の活発化が期待される。近海郵船のコンテナ船大型化もそうした動きの一環といえる。
日本海事新聞社