借入金利、1年で46.3%の企業が上昇 金利は上昇局面に、問われる「稼ぐ力」
Q2.今後(概ね向こう半年)の資金調達の借入金利について、メインバンクより今年に入ってから、どのような説明がありましたか?(択一回答)
◇「金利引き上げ」に言及は58.8% 「今後の金利の話はしていない」が39.5%(5,385社中、2,128社)で最も多かった。前回調査では65.4%だった。金利に関する対話が進んでいることがうかがえる。 「金利引き上げをはっきり伝えられた」は34.8%(1,877社、前回調査5.5%)、 「金利引き上げの可能性を示唆された」は24.0%(1,293社、同25.3%)だった。こうした「引き上げ」に言及した企業は合計58.8%で、前回調査(30.8%)より28.0ポイント増加した。 「引き上げ」に言及した企業を業種別(業種中分類、回答母数10以上)で分析すると、 トップは「家具・装備品製造業」の85.1%(27社中、23社)だった。
Q3.メインバンクから今後の資金調達の借入金利について、既存の利率より0.1%、0.3%、0.5%の上昇を打診されたと仮定した場合、貴社はどのように対応しますか?(択一回答)
「受け入れる」と回答した企業は、上昇幅が0.1%では82.2%(4,868社中、4,002社)だった。0.3%では42.1%(4,588社中、1,933社)、0.5%は22.9%(4,443社中、1,018社)で、上昇幅が増加するほど、割合は低下した。ただ、前回調査(それぞれ77.3%、37.3%、19.1%)と比較すると、「受け入れる」と回答した企業の割合は上昇した。 ◇ ◇ ◇ 7月31日に日銀が政策金利の0.25%引き上げを決めた。その後、金融機関は短期プライムレートを1.475%から1.625%へ引き上げるなど、政策金利に連動した動きを見せている。「金利のない世界」が常態化していた国内企業にとって、金利引き上げのインパクトは小さくない。 メインバンクから向こう半年の借入金利について、「引き上げをはっきり伝えられた」、もしくは「可能性を示唆された」と回答した企業は合計58.8%で、前回調査(4月)より28.0ポイント上昇した。「家具・装飾品製造業」や「洗濯・理容・美容・浴場業」など、原材料・人件費の高騰が直撃し、コロナ禍の影響も色濃く残る業種が上位に並んだ。国内の企業数が減少するなか、金融緩和が長く続き、これまで金融機関は横並びで信用リスクに見合った金利を設定しにくい状況にあった。ただ、ここにきて業種特性や個社の信用力を加味し、金利交渉に臨む姿が透けて見える。 既存金利より0.3%上昇した場合、「他行へ調達を打診する」との回答が半数近く(45.2%)に達し、0.5%上昇では5割を超える(54.9%)。企業の理解なき金利の引き上げは、メインバンクの地位を失いかねないことを暗示している。コンサルティングなどの手数料収入(役務利益)から、資金利益への単純な先祖返りはメインの価値を失わせる。 「金利ある世界」では、金融機関も金利以外での対応力が求められそうだ。