【選手権】青森山田DF小沼主将 無冠に終わり「本当に悔しい一年」
王者としてではなく、あくまで自分たちはチャレンジャー。気負うことなく自分たちのサッカーを突き通す。その先に連覇が待っている。はずだった....。 【フォトギャラリー】2回戦試合風景 12月31日、第103回全国高校サッカー選手権の2回戦が首都圏内の各会場で行われ、NACK5スタジアム大宮の第1試合に前回王者の青森山田(青森)が登場。しかし、高川学園(山口)に1-2で敗れ無念の初戦敗退となった。 立ち上がりから試合のペースを握れない。距離感を詰められた青森山田イレブンに余裕は感じられず、相手のDFラインの裏を取ることができなかった。守備面でも相手のエースFW10大森風牙(2年)に起点を作られ、潰しきれない。前半、チャンスらしいチャンスはなく、28分にCKからDF5小沼蒼珠(3年)が勢いよく飛び込んだが、ヘディングシュートは大きく枠を外れた。 そして迎えた後半7分、この試合初めて相手にCKを与えると、「トルメンタ」でニアにグラウンダーのボールを通され、シュートはポストが弾いてくれたが、折り返しを大森に押し込まれた。さらに同33分にはPKを献上し2点目を決められた。 追い込まれた青森山田は後半36分に途中出場のMF26麓萊凜(2年)がネットを揺らし1点差に詰め寄った。残された時間は4分+AT、同点ゴールを目指し相手ゴールに迫ったが、決定機を作ることはできず青森山田の選手権は初戦で幕を閉じた。 「(プレッシャーも)もちろんあった中でそれでも勝たなければいけない。実力で負けて悔しいです」 小沼主将はそう言って唇をかんだ。青森山田と高川学園のシュート数はどちらも4本。CKの回数も1回と同じだった。決して大きく上回られた訳ではなかったが、相手を飲み込むような青森山田らしい強さは見せられなかった。 「自分は一本中一本を決め切れないで、相手は決めてきた。本当に完敗でした」小沼は自身がシュートを決め切れなかったことを悔やんだが、それでもやはりチャンスが少なすぎた。CKの場面ではニアを完全にフリーにしてしまい、"ゴールを隠す"青森山田の守備ができなかった。これで今年の青森山田はインターハイ、プレミア、選手権と、全国レベルの大会では無冠に終わった。 「去年は最高の景色を見に連れて行ってもらったので、今年は俺が最高の景色を見せてあげたいと思っていましたけど、インターハイもプレミアも選手権もなにもできていなくて。引っ張ってやるって思いだけ強くて、結果何もできていないので、本当に悔しい一年でした」 昨年、2年生でポジションを掴み、ロングスローは"小沼キャノン"と呼ばれ話題を集めた。選手権では優勝メンバーに名を連ねた。今年はキャプテンを任されたが、インターハイではベスト8、プレミアリーグEASTは8位と結果を残せず、残されたこの選手権で優勝することが至上命題だった。しかし結果はまさかの初戦敗退。 「歴史ある青森山田高校の主将を務めさせてもらえて光栄でしたし、ディフェンディングチャンピオンとして選手権に出られたことも光栄でしたが、そこで結果を出せなかったので、弱い代のキャプテンになってしまった。強い山田をより知らしめるのがキャプテンの仕事だと思っていたので、本当に悔しい」 高みを目指していた分、落胆は大きい。それでも数々のプレッシャーを背負ってきたことで、大きな成長を遂げたはず。2ゴールでこの試合の主役となった高川学園のFW大森も「(青森山田の)他の選手とは"やれる"と感じましたが、小沼選手は強かった」小沼の迫力は別格だったとコメントを残した。 この悔しさを晴らすため、小沼は大学で更なる成長と活躍を誓う。 「対人の部分だったり、運動量多く駆け上がって、サイドでは絶対に負けないように伸ばしていきたい。もっと体のサイズを大きくして、日本だけじゃなくて大学では世界を視野に入れてもっと色んな所を伸ばしていきたい」 大学経由でプロの世界へ。小沼のサッカー人生はまだまだここからが本番だ。 (文・写真=会田健司)