シーイン、メキシコでクレカ発行へ 南米で台頭する中間層の取り込み狙う
中国系EC大手のSHEIN(シーイン)は、メキシコのフィンテック企業Storiと提携して、自社初のクレジットカードをメキシコで発行すると発表した。 両社の発表文によると、このクレジットカード(マスターカード)を使用するたびにSHEINのウェブサイトで使用できるポイントが付与され、同社ウェブサイトでの衣料やアクセサリーの購入にこのカードを使うと2倍のポイントが付与される。 今回のクレジットカード発行はSHEINの人気が中南米全域で急上昇し、メキシコに工場を建設する計画を検討する中でのものだ。中南米における同社の主要市場であるブラジルではすでに流通網を構築し、生産拠点も置いている。 SHEINやライバルのTemu(テム)は中南米各地で台頭しつつある中間層の増大を利用しているが、そうした人々は欧州や北米の企業のものを買う経済的余裕がないことが多い。 消費意欲はあっても所得が低いため、こうした人々の間では中国の小売業者が提供する低価格の商品が大人気となっている。 SHEINは以前、ブラジルで生産された製品を2026年から中南米各地の市場へ出荷する計画を発表した。ブラジルでの生産を統括するディレクター、ファビアナ・マガリャエスも今年初めにこの計画を確認している。 ■ブラジルで生産網拡大へ SHEINは今年初めにブラジルでアパレル生産を開始した。同社は中国に巨大な生産拠点網を持っているが、中国外では初の生産拠点だ。同社によると、自社マーケットプレイスに出店している業者による販売も含め、2026年までにブラジルでの販売の85%を現地生産することを目指しているという。 ブラジルはSHEINの世界5大市場の1つとなっており、中南米では最大の市場だ。同社は今年4月、生産業者のネットワークを確立するため、今後数年間でブラジルに1億5000万ドル(約230億円)近く投資すると発表した。 また、同社は昨年、メキシコで生産拠点を探したようだが、その後の進展は発表されていない。中南米での生産に本腰を入れることで、拡大している成長市場にこれまでよりも早く製品を供給できるようになり、米中の貿易摩擦を回避することにもつながるかもしれない。