「妻に内緒で離婚届提出」「不倫相手と即再婚」の不貞行為がバレた茨城県立高校副校長、法廷で絞り出した懺悔の言葉
■ 一方的に提出された婚姻届・離婚届を取り消すにも多額の弁護士費用が 配偶者に嘘をつき、偽造離婚届を提出するという行為は断じて許されません。しかも、本件の場合は明らかな「有責配偶者」がそれを行っていました。しかし、今の日本では、両当事者の意思や事情を確認されることもなく、偽造された署名によってつくられた書類が、役所の窓口で簡単に受理されてしまいます。これもまた恐ろしい現実です。 仮に、提出された離婚届が偽造されたものだったとしても、取り消しの手続きは容易ではありません。家庭裁判所に離婚の無効の申し立てを行い「無効である」という審判を仰がなければ、取り消すことはできないのです。しかも、その手続きには短くても数カ月、長ければ約1年かかります。 もしその間に、病気や事故、災害などが起こったら、いったいどうなるのでしょう。子どもの親権、養育費、財産の問題など、大問題が起こることは必至です。いったん離婚が成立してしまうと、その時点を境に、何も知らない一方の配偶者は婚姻制度で保証されている法的保護から放り出されてしまうのです。 また、離婚の無効の申し立てには、弁護士費用を含めると約100万円の費用が必要になるといいます。配偶者の裏切りによって精神的なダメージを受け、家庭裁判所に申し立てる気力も、経済力もない場合、そのまま泣き寝入りを強いられている当事者は少なくないのではないでしょうか。
法務省によれば、協議離婚、つまり夫婦の話し合いによって離婚を成立させる場合、離婚の届出書に必要事項を記載し、本籍地、もしくは所在地の市役所、区役所、または町村役場に届ければ受理されるとのこと。その際、届け出に来た人物の本人確認のため、運転免許証やパスポートを持参する必要があるとのことです(ただし、判決・調停・審判・和解による裁判離婚の場合には、本人確認書類の持参は不要)。 離婚は人生を大きく左右する手続きです。こうした犯罪を防ぎ、これ以上被害者を生まないためにも、夫婦のどちらかひとりで離婚届を提出に来た場合は、最低限、もう一人の配偶者の意思確認をしてから受理するという手続きに変えられないものでしょうか。国にはぜひ見直しを考えていただきたいと思います。 ■ 反省の弁を述べるが… 今年2月に逮捕され、警察に勾留された遊佐被告は依願退職。2024年4月からはつくばサイエンス高校の校長に就任予定でしたが、現在は無職です。再婚した妻はまもなく2人目を出産予定ですが、妻も離婚届の捏造に関与していたことから、現在は接見を禁止されているといいます。 初公判の最後、弁護士から今回の犯行についてどう考えるかと問われた遊佐被告は、うつむきながらこう答えました。 「この1カ月の間にいろいろわかったこととして、就職ができない、賃貸物件を借りることすらできない。不動産屋には、これだけ実名報道されていたらどこも貸してくれないと言われました。法を犯すということが、いかに大変なことかを知りました。生きていけない。よいことはひとつもありません。今後は気をつけていきたい……」 そして、「(元妻と)話し合っておけばよかった。話し合うことは避けては通れない」と述べたうえで、 「元妻と子どもたちには申し訳ない。また千代田区役所の方々をだましたことも申し訳ないと思っています。以上です」 という言葉を口にしました。 しかし、検察官はその「謝罪」を安易には受け取らなかったようです。