イスラエル「ハアレツ」編集長が綴った絶望|週末に読みたい海外メディア記事5本|2024.2.3-2.9
TsvirPixel / shutterstock.com
今週もお疲れ様でした。しばらく前から観測報道が出ていたとはいえ、ウクライナで国民的な人気を得ていた軍トップのワレリー・ザルジニー総司令官が2月8日に解任されたニュースは、大きな波紋を広げています。昨年夏から秋にかけての反転攻勢が成功しなかたことの責任を問われたとも、そのカリスマ性から政治的ライバルとなることをヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が警戒したとも伝えられますが、当編集部で探す限り、まだそれ以上踏み込んだ論考は海外メディアにも少ないようです。 後任となるオレクサンドル・シルスキー陸軍司令官はザルジニー氏よりも8歳年長(58歳)、ウクライナ軍を欧米式に変革したザルジニー氏とは対照的に「旧来型の軍人」と評されます。ゼレンスキー大統領はシルスキー氏の任命にあたって、22年秋のハリコフ北東部での反撃を成功させたことなどを功績として挙げましたが、米 ワシントンポスト 紙などによると多数の命を犠牲にすることを厭わない「ソ連風」の指揮から「butcher」と呼ぶ兵士もいるとのこと。また、ウクライナの政治に大きな影響力を持つアンドリー・イェルマーク大統領府長官に近いともされています(イェルマーク長官については、下に関連記事を挙げておきます)。 もう一点気になるのは、ザルジニー氏が戦況の膠着を打開するには軍事的な最新技術が必要だと一貫して唱えてきたことです。昨年11月頃には同氏とゼレンスキー大統領の関係悪化は決定的になっていたともされますが、ちょうどその頃に英エコノミスト誌が行った インタビュー でも、ウクライナに最新の軍事技術と武器を供与することに二の足を踏む西側諸国への苛立ちも滲ませつつ、テクノロジーの重要性を訴えています。アメリカが依然としてウクライナへの追加支援に動けぬ中で、この軍トップ交代がどのような含意を持つのかも注目されるところでしょう。
本文:4,949文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
フォーサイト編集部