円は対ドル149円後半、米12月利下げ観測が支え-日銀情報発信を警戒
(ブルームバーグ): 9日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台後半で推移。米国の雇用統計を受けた12月利下げ観測の高まりが相場の支えとなっている。一方、日本銀行の追加利上げを巡る思惑が交錯する中、日銀からの情報発信を警戒する見方もある。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、先週の日銀のコミュニケーションを見る限り、「利上げが12月なのか来年1月なのか、まだ決まってない感じだ」として、「今後どういった情報発信がなされるのか、来週の日銀会合に向けてヘッドラインリスクが大きい状況が続く」と述べた。
6日の米雇用統計発表を受けて円は主要10通貨に対して上昇した。11月の雇用者数の伸びが予想通り回復する一方、失業率が上昇し、ドル売り・円買いが強まった。その後、予想を上回る消費者マインド指数や米金融当局者の発言を受けてドルは買い戻されたが、米10年国債利回りが10月下旬以来の低水準を付けており、ドルは円に対して上値の重い展開が続いている。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、11日の米消費者物価指数(CPI)を確認する必要はあるものの、12月の米利下げはほぼ確実な情勢だと指摘する。一方、日銀の金融政策については「今月は利上げするチャンスだ」と述べ、ドル・円の上値は重くなるとみている。
日銀の金融政策を巡っては、観測報道や日銀審議委員の発言で思惑が交錯。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では12月利上げの織り込みが先週の6割台から一時3割弱に低下した。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは9日付のリポートで、米国が利下げし、ドル・円の上値が重くなると、日銀も12月の利上げ見送りに傾くとの見方が市場で高まりやすいと指摘した。
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Saburo Funabiki