NASA、ISSでの船外活動を2025年に再開へ–宇宙服からの冷却剤漏れを修復
米航空宇宙局(NASA)の幹部は米国時間10月25日、国際宇宙ステーション(ISS)での船外活動(EVA)を2025年に再開する意向を示した。 直近のISSでは、宇宙服こと「船外活動ユニット(EMU)」をめぐるトラブルが続出しており、6月には宇宙服の「不快感」からEVAが中止。同月には宇宙服から冷却剤が漏れ出し、EVAが再度中止された。翌月からEVAは無期限で延長となっていた。 海外メディアのSpace.comによると、NASAでISS計画で運用統合マネージャーを務めるBill Spetch氏は10月25日に開かれた記者会見で「我々は来年初めに、次の船外活動を計画している」と述べた。宇宙服とISSを接続するシールとアンビリカルケーブルが交換され、宇宙服の再加圧が確認されたとも述べている。 「我々は船外活動を行う場所について、次の機会を探すつもりだ。時間的に厳しいわけでも、緊急でもないので、最も合理的で最適な機会を見つけるつもりだ」とNASAでISS計画の責任者を務めるDana Weigel氏は述べている。 近年のISSのEVAでは、冷却剤の漏れが何度も発生している。2022年3月には、EVA後に宇宙飛行士のヘルメットに水が入っていることが発見され、7カ月間EVAが中断された。2013年にはイタリア人宇宙飛行士のヘルメットが大量の水で満たされた。 現在、ISSで活用されているEMUは、1970年代に設計され、1983年4月に初めて宇宙で実際に使用された。 EMUについては、米Axiom Spaceとイタリアの高級ファッションブランドPradaが共同で開発したデザインを公開した。NASAは2022年6月にEMUの開発でAxiom Spaceと米Collins Aerospaceを選定した。しかし、Collinsは2024年6月にEMU開発から撤退することが報じられている。
塚本直樹