「北欧、暮らしの道具店」好調のアパレル戦略とは? 1型数千枚の在庫をEC1店舗で売り切る商品戦略と販売計画の裏側
「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムは6月14日、オリジナルアパレルの商品開発と販売計画の戦略を公開した。 解像度の高いユーザー理解による商品企画、精度の高い独自の需要予測、最適な訴求を行う販路を通じ、1型数千枚生産する商品も限りなくゼロに近い商品廃棄率を実現しているという。 クラシコムではオリジナルのアパレルブランド、「KURASHI & Trips PUBLISHING」や「NORMALLY」を自社ECのみで販売。各型は数千単位を生産し定価消化率は95%超え、商品廃棄率は限りなくゼロに近い。サステナブルな商品開発と販売計画を実現している。
売れ筋の定番商品では「長袖カットソー」が約8000枚、「ベーシックニット」は約7000枚を生産している。類似商品のデータ分析に加え、複数回に渡る再販を重ね、最大販売数を高い精度で予測。この独自の需要予測から年々販売数を伸ばしている。
2024年春夏のアイテムも好調に販売数を伸ばしている。4月に発売した「半袖ベーシックニット」は約2週間で初回生産分5000枚が、「軽やかUVカットパーカー」は約4週間で2000枚が完売した。6月発売の「きれい色のTシャツブラウス」は約2500枚が3日で完売となった。
クラシコムのオリジナルアパレルの商品開発と販売計画の肝は、 ・商品企画 ・需要予測 ・販売チャネル
にあるとし、サステナブルなマーチャンダイジングを実現している。
■ (1) 商品企画 商品企画の強みは、スタッフの約8割が元ユーザーであること。ユーザーと趣味嗜好が近いスタッフが企画することで、高い解像度でユーザーニーズに添った商品を実現している。 ユーザーの声も積極的に集めている。毎日配信するコンテンツを通じて得られるユーザーの反応、「お客さまアンケート」、アンケート回答者の中から個別のテーマでヒアリングを実施する「顧客インタビュー」、商品の着用感やフィードバックを目的とした「試着会」といったリアルイベントなどを通じ、新たなニーズの発掘に取り組んでいる。 ■ (2) 需要予測 売上初速・再入荷待ち人数など過去のデータから高精度の予測を独自で導き出し生産数を計画。手がかかりにするのは「北欧、暮らしの道具店」のコンテンツやSNSのリアクション、「入荷お知らせメール登録(再入荷通知)」に登録されている顧客数など。長年積み重ねてきたデータなども活用し販売可能数を高い精度で予測する。 加えて、前述したインタビューや試着会などユーザーとのリアルな交流で得られる、数値に置き換えられない定性的な情報も交えたロジックを生成しているという。 ■ (3) 販売チャネル 販売には300万超ダウンロードの自社スマホアプリ、オウンドメディア、メルマガ、YouTube、Instagramなど合計744万人のフォロワーを持つエンゲージメントチャネルを最大限活用。テキスト・動画・音声・リアルイベントほか、商品特性や発売時期に合わせて最適なプラットフォームと表現でユーザーに訴求する。 代表的な商品訴求コンテンツの(1)つとして、「スタッフ着用レビュー」がある。身長や体型の異なる複数のスタッフの着用感を公開し、顧客の“自分ごと化”を促し購入を後押しする。