70歳を超えて働くのは、もはや当たり前に?「人生100年時代」に向けて50代が知っておくべき「定年前後の制度」【FPが解説】
「失業手当」と「高年齢求職者給付金」の違い
定年退職後に受け取れる給付金としてまず思い浮かぶのは、雇用保険の「基本手当(失業手当)」でしょう。この失業手当は、被保険者期間や受給資格により異なり、90日~最長330日分の給付金が支払われます。60歳~65歳未満の定年の場合は、90日~最長150日分の給付となります。 では、65歳以降はどうなるのでしょうか。65歳以降は「高年齢求職者給付金」となり、30日または50日分の給付金が支払われます。支給条件としては、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あり、失業状態であることが必要です。 このように、「失業手当」と「高年齢求職者給付金」では給付の日数が異なります。失業手当を受け取ったほうがいいと考えて65歳よりも前に退職という選択肢もありますが、会社によっては退職年齢によって退職金が少なくなる場合もあるため、いつ退職するのが得策かをしっかり確認しましょう。
収入ダウンとなった方の給付金「高齢雇用継続給付金」
60歳以降、再就職や再雇用で就業したとしても、会社の規定により賃金が大幅に低下することがあります。退職日の前後1日でスキルが低下するわけでもないのに、賃金が下がるのは納得いかないものです。そこで、高年齢層の雇用を支援するための給付金があります。それが「高齢雇用継続給付金」です。 支給条件の主なものは以下のとおりで、これに該当する場合は賃金の最大15%の給付金が支給されます。 【高齢雇用継続給付金の主な支給条件】 60歳以上65歳未満雇用保険の被保険者期間が5年以上60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下「高齢雇用継続給付金」には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」との2つの給付金があります。 継続雇用で賃金が低下した方は「高年齢雇用継続基本給付金」再就職で賃金が低下した方は「高年齢求職者給付金」(失業手当の支給残日数が100日以上あること)正社員、契約社員、非常勤嘱託職員、パート、派遣社員など雇用契約の種類に関わらず、支給条件に合致すれば受給申請が可能です。ただ、残念ながら2025年4月以降は、高年齢者雇用継続給付金の最大給付率が15%から10%に引き下げられ、さらに2030年4月以降は制度の廃止が予定されています。
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