「我々が勝った!」 韓国大統領の逮捕状執行中断に支持者歓声
「我々が勝った!」「民主主義を守った!」 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対して、内乱容疑での逮捕を試みた高官犯罪捜査庁(高捜庁)が逮捕状執行の中断を発表すると、公邸周辺に早朝から集結していた尹氏の支持者数千人は一斉に手をたたき、歓声をあげた。 【写真で見る】人で埋め尽くされた韓国大統領公邸周辺 会社を休んで抗議をしにきたという会社員の男性(61)は、「(動画共有サイト)ユーチューブを見て(韓国の)自由民主主義が(韓国外の)共産主義に脅かされていると知った。韓国を守るために来た」と説明。高捜庁が再び、逮捕状執行を試みようとする場合は、「再びデモをして阻止する。私たちの子孫のために皆でやらなければならない」と強調した。 公邸前での尹氏の逮捕に反対する抗議デモはソウル西部地方裁判所が昨年12月31日に逮捕状を発付して以降、連日続いている。尹氏はこうした抗議デモの存在を知っており、さらに鼓舞する動きも見せた。 聯合ニュースによると、尹氏は逮捕状執行に先立つ1日、支持者らに対し関係者を通して、「私は皆さんと共にこの国を守るために最後まで闘う」との署名入りの手紙を伝達した。「国内外の主権侵害勢力と反国家勢力のうごめきによって今、韓国は危機にある」とよびかけたうえで、「(デモを)生中継しているユーチューブを通じて、皆さんが頑張っている姿を見ている」と励ます内容だ。 こうした抗議活動に備え警察は3日早朝から、公邸の正門がある幹線道路沿いに多数のバスを「壁」のように並べて停車。支持者らが公邸の方向に進入できないように道路を規制した。警官ら約2700人が動員され、厳戒態勢で臨んだ。 支持者らは「国軍統帥権者を逮捕することが内乱行為だ」「弾劾反対」などと書いたプラカードを手にして、「高捜庁、反対!」「高捜庁を廃止しろ!」などと叫んだ。警察のバリケードのすきまに入り込んで公邸に近づこうと試みる人や、バリケード前で道路に寝転び抗議する人もいた。 昼ごろになると更に支持者が増えた。朝鮮日報によると、この日は公邸前の約200メートルに約7000人が集まった。韓国メディアは尹氏の「手紙効果」を指摘している。尹氏は野党や政権に対抗する勢力を北朝鮮や海外勢力の影響下にあると批判し、12月上旬に宣布した戒厳令を正当化している。【ソウル日下部元美】