AIに仕事を奪われそうなライターが、AI研究者にとことん聞いてみた
死後にAI化されたいか
──イマジネーションの中に登場させられることと、VFとして具体化されることでは差があると思います。私が『本心』の母親の立場だったらVFにされたくはありません。 清田先生 :それは大事なポイントだと思います。この作品が考えるきっかけになってくれたらと思います。 VFにしないでほしいと遺言を書くべきなのか、相談してルール作りをするべきなのか、残したいと思っている人の権利はどう認めるべきなのか。いろんな議論が出てくると思います。 ──映画の中のVFのお母さんは、途中から放置気味になっていてかわいそうでした。放置するくらいならVFにしないほうがいいし、私はされたくない気持ちが強まりました。 清田先生 :でも、残したいと考える人も多いと思います。自分を残したい願望って昔からあると思います。ヨーロッパの絵画は、ある時代から肖像画ばかりになります。だから、本人の選択しだいなのでは? ──確かに、肖像画や銅像という形で自分を残す人は多いですね。そう考えると、議論を重ねてルール作りさえしっかりすればサービスとしてはありなのかも。 清田先生 :映画に出てくるVFの会社は大儲けでしょうね。そしてVFが当たり前になった世界では「両親を大切にしよう」だけでなく「両親のVFを大切にしよう」なんて言葉も出てくるかもしれません。 ──ところで、『本心』の原作は2019年~2020年に連載され、2040年代を舞台にしていましたよね。しかし、2024年でも十分リアルに感じられるようになりました(これを踏まえ、映画の物語の始まりは2025年に設定された)。2030年までにAIは更なる進歩を遂げると言われていますが、その時にはどんな世界になっていると思いますか。 清田先生 :少なめに見積もってホワイトカラーの仕事の約20%がAIに置き換わると予測されています。一方、身体性を伴う仕事が置き換えられるのにはまだまだ時間がかかると考えられています。