旧優生保護法訴訟、兵庫訴訟も”和解成立”全国7件目 「あってはならぬ人権侵害」国が謝罪
旧優生保護法(1948~1996年)の下で、聴覚障がいなど理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、兵庫県内に住む60代の女性ら2人が国を相手に損害賠償を求めた訴訟(兵庫第3次訴訟)は、神戸地裁で24日、和解が成立した。国は2人にそれぞれ1500万円の慰謝料などを支払う。 「秘した30年、つらかった」原告の女性 この問題をめぐっては、2018年1月以降、全国各地で提訴が相次ぎ、被害者ら39人が全国12地裁と支部に提訴。 最高裁は2023年7月、「旧優生保護法は違憲」として国に賠償を命じた。 不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」が最大の争点だったが、最高裁は、戦後最大の人権侵害とされる旧優生保護法についてこの“時の壁”を適用しないという統一見解を示した。 国と原告側は同年9月、全国で係争中の訴訟の和解合意書に調印した。初提訴から6年10か月。一連の訴訟は全面解決に向かい、終結する。 兵庫第3次訴訟の2人は、いずれも聴覚障害があり、1人は1981(昭和56)年、第1子の長女の出産時に、もう1人は1990(平成3)年、第2子の長女の出産時に、それぞれ強制手術を強いられた。いずれも当時20代。帝王切開での出産だった。 この日の和解は、関係者以外は非公開で行われ、国側の代理人が「あってはならない人権侵害を行い、被害者の心身に長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきた」と口頭で謝罪した。 原告の2人は「ずっと伝えられなかった30年の苦しみ。苦しいことがいっぱいあったが、ようやく和解できた。これからは差別のない社会となることを強く願っている」と手話で語った。 兵庫ではこれまでに、計5人が第1、2次訴訟を起こしたが、最高裁は「旧優生保護法は違憲」だとして国に賠償を命じ、確定した。
ラジオ関西