福島県南相馬市を宙(そら)の情熱集う地に 来年2月 ロケット甲子園 航空宇宙を重点分野に 浜通りの活性化期待
国内の中高生が模型ロケットの制作と打ち上げの技術を競うロケット甲子園が来年2月8、9の両日、福島県南相馬市馬事公苑で開かれる。県内開催は初めて。主催の日本モデルロケット協会は福島県での継続開催を視野に入れる。ロケットの先進地として注目されることで航空宇宙分野の産業集積に弾みがつき地域活性化につながると地元に期待が広がっている。県内から今大会に挑む福島高と福島工高の生徒も「宇宙に関心を持つ人が県内に集まるきっかけになれば」と望む。 日本モデルロケット協会は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者や大学の名誉教授らが役員に名を連ねる。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、浜通りで進む「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」は航空宇宙を重点分野の一つにしており、関連産業の集積や人材育成が盛んになっていることから福島県を会場に選んだ。被災地の現状を全国の生徒に正しく理解してもらいたいとの思いもある。ロケットの打ち上げが可能な環境などを考慮し、南相馬市馬事公苑を会場とした。
今回初めて開いた地方大会とオンライン申請による予選会には全国の35校50チームがエントリー。勝ち抜いた福島県の2校を含む11チームがロケット甲子園の出場権を得た。大会当日は約80人が集まる。 機体全長65センチ以上、総重量650グラム以下の模型ロケットで指定された高度と滞空時間にいかに近づけられるかを競う。機体内に鶏卵2個を搭載し、割らずに着地させる必要がある。優勝チームは世界大会の出場候補となる。 南相馬市では、進出した航空宇宙関連企業がロケットの打ち上げ実験をすでに始めている。実験のたびに数百人が見学に来るなど地元は盛り上がっており、門馬和夫市長は「学生の皆さんのチャレンジは南相馬市の産業復興にとっても、希望となる」と大会を歓迎する。福島高のチームでリーダーを務める2年の渡辺侑真さん(17)は「ロケットに関心を持つ人で福島がにぎわえばうれしい」と相乗効果を期待する。 協会は若い人材に福島県の現状や福島県に集積する関連企業を紹介する場にし、大会を通してものづくりの魅力も発信したい考え。会長の桐生亮さん(61)は「宇宙や航空、ものづくりなど幅広く興味を持ち、さらには自己研さん、チームワークの醸成、課題解決力の向上などさまざまな経験の場になれば」と話す。