韓国首相 尹大統領に代わり国政運営も外交の空白は不可避
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「非常戒厳」事態以後、蟄居(ちっきょ)状態に入り、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が前面に出て国政運営を担っている。 南東部の慶尚北道・慶州沖で9日午前5時40分ごろ、漁船(29トン)と砂の運搬船(456トン)が衝突し漁船が転覆する事故が発生したことを受け、韓氏は装備や人員を総動員して人命救助にあたるよう緊急の指示を出した 8日に開いた閣僚との会合では分野別の懸案を点検する一方、来年度予算の早期成立に向け国会に協力を要請した。 ただ、韓氏が尹大統領に代わって国政を担うには限界があるという指摘が出ている。 憲法上、首相は閣僚などの人事について登用や解任を提案することはできても任命する権限は持たず、人事、外交、国防などについては大統領の裁可を必要とする。 特に外交分野については、韓氏が首脳会談や多国間首脳会合などに大統領の代わりに出席するのは不可能との見解が政府と学界で概ね一致している。 与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は8日に発表した談話で、「尹大統領が残る任期の間に正常な国政運営ができないため、職を退くべきだというのが多数の国民の判断だ」とし、「退陣前でも大統領は外交を含む国政に関与しないだろう」と述べたが、尹大統領が国政に関与しなければ、国政の一部が空白化するのは避けられない形だ。 大統領固有の権限である国軍統帥権も首相が代行できない領域だ。 そのため韓氏が今後の国政を担っていく過程でも、最終決定権者である尹大統領に対する報告は維持される見通しだ。 一方、野党は韓氏と国民の力を中心とした国政運営に法的根拠がないと反発している。 最大野党「共に民主党」は同日、韓氏を内乱罪の容疑で警察庁国家捜査本部に告発し、韓氏の弾劾推進も検討中であると明らかにした。野党「祖国革新党」はすでに韓氏の弾劾訴追を推進するという立場を表明した。 尹大統領が通常通りに職務を遂行できない状況で韓氏の職務が停止すれば、国政はこれまでにない混乱に陥る見通しだ。
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