「学び直さなかったら後悔する」昼間の学校生活は新型コロナで崩れ去った… 公立夜間中学で出会った異国の友
夜間中学に来て、学ぶ機会や友人に恵まれた2人。牧山さんは昨年の夏休み前、父親や先生に「高校進学せず、夜間中に残りたい」とまで頼み込んだ。また山浦さんは雪で1日学校に行けなかったことを、何日も悔やんだ。 ▽ずっと一緒にいたかった 今年3月に卒業した牧山さんは1年間の学校生活を、こう振り返った。「毎日が思い出に残るんです。授業もそうなんですけど、それによって勉強がもっと楽しくなって。ずっとここに居たいぐらい、この学校が好きになっちゃって。健太が初めての日本人の友達でした。本当に優しいし、こんなに日本語が話せないのに話してくれて、何かと気を使ってくれた。毎日彼と一緒に過ごす時間が多くなって、ずっと一緒にいたかった―。でも先に進まなきゃ」。一方、山浦さんは「チャットでつながっているので、会おうと思えばいつでも会える」と一見そっけないが、少し寂しそうだった。 ▽いつかまた… 2人はそれぞれの道を歩み始めている。
2年生になった山浦さんは「(昼間の学校の)2、3年生でできなかった分をやり直して、ちゃんと卒業したい」と意気込む。病気の方は自然治癒に任せて、今は通院もせず薬も飲んでいない。将来の夢は、趣味を生かしたゲームクリエーターになることだ。牧山さんは県立高校に通い、美術大学を目指している。「絵が好きですから」。ゆくゆくはイラストレーターになりたいという。 「独り立ちしたら、(1期生の何人かで)一緒に住もう!」「おお、いいじゃん!」―。卒業前に交わした言葉を、2人は今も忘れていない。 関連動画はこちら https://youtube.com/watch?v=s0ffcq4VeuA&feature=share 【公立夜間中学校】 貧困や差別を理由に通学できなかった人の学びの場として戦後混乱期に誕生。近年では不登校経験者や外国人の受け皿としても期待される。一般の中学校と同様に授業は週5日で、全課程を修了すれば中学卒業資格が得られる。学費は無料。2016年末に成立した教育機会確保法に基づき、国は各都道府県と政令市に1校以上の設置を促している。文部科学省によると今年4月時点で17都道府県に44校。25年度までに28都道府県に拡大し、新たに14校が設置される見通し。