日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと
そのうえ、いつ完成するかもわからない。航空機の開発では、予定より10年遅れることも珍しくない。現時点では2035年に生産1号機が完成する計画だが、実際には2040年から2045年だろう。 そのころにはアメリカでは新戦闘機「NGAD」の生産が始まっているだろう。日英伊がF-35の同等品を開発する間に、F-35の次の戦闘機は完成している。となると、空自が「共同開発した新戦闘機はいらない、NGADがほしい」と言い出すはずだ。
防衛省界隈でも内心ではそう考えている。F-35を超える性能を実現できるか。F-35よりも安くなるのか。NAGDよりも早く納品できるか。それを聞いても口ごもるだけだ。ポジション・トークとしても、「見込み」と予防線を張るしかない。 結局、完成してもいいことはないし、いつ完成するかもわからない。それなら早期に手仕舞いしたほうがよい。現段階の日本支出1.4兆円、3倍に膨張するとすれば4.2兆円が節約できるのだ。
3つ目は、耐震改修を取りやめることだ。防衛省は大規模な耐震改修事業に着手している。その額は24年度だけでも3200億円に及ぶ。これは不要な事業だ。当然だが中国対策ともなりえない。 こう言えば、突飛な話に聞こえるかもしれない。確かに自衛隊の建物は老朽化しており、耐震性も確保できていない。そのような内容の報道は多い。 ■自衛隊施設の耐震改修も不要 しかし、やめても大した問題はない。隊員が勤務している建物に関しては耐震性は確保済だからである。
耐震性が疑わしい建物も、確かにいくつか残っている。戦争中や戦後の進駐軍向けに作った木造建築は危険である。ただ、勤務場所としては使っていない。武道場や、不要品をしまう物置に使う程度だ。 このような建物は、本来は存在してはいけない幽霊物件だ。いずれも鉄筋コンクリートで建て替える際には取り壊す予定のものだった。それを「もったいないから」と残しただけだ。 しかし、そのような幽霊物件に2024年度には3200億円もの予算をつけている。老朽化と耐震対策の名目だが、実際には防衛費を使い切れないためだろう。