父親の死後、会社を継いだ30代「建築会社の社長」が絶句した「50代の右腕社員」からの壮絶な裏切り
労務相談やハラスメント対応を主力業務として扱っている社労士である私が労務顧問として企業の皆様から受ける相談は多岐にわたります。 【漫画】しすぎたらバカになるぞ…母の再婚相手から性的虐待を受けた女性の壮絶 経済や社会情勢の変化によって労働問題やハラスメントの捉え方も変わり、従業員側のほうがむしろ強気に出られるような場面も見られるようになりました。 今回は、従業員が自社の社長の悪口を外部で言いふらしていたという事例について、その懲戒の是非も含めて匿名化してご紹介します。
代替わりした若手社長からの相談
私の元へ相談の問い合わせをくださったのは、東北地方に拠点を持つP社の若手経営者、N村さん(30代)です。創業100年に届こうとする建設会社で、複雑な足場でも安定して高所作業ができる職人を多数擁していることが強みです。 もともと父親がその会社の代表取締役を務めており「いつかは会社を継いでほしい」といわれたN村さんは、大学の経済学部を卒業後、大手建設会社へ就職。その後31歳で専務取締役としてP社に戻り、父親のもとで経営者として研鑽を重ねてきました。 還暦を迎えた父親が代表権のない会長となったのを機に、N村さんが代表取締役に就任。一昨年に父親が病気で亡くなってからは、名実ともに会社の顔になりました。P社において長年の課題であったDXを進めつつ、様々な経営改革にも着手している気鋭です。 そんなN村さんのご相談は、先代の時代から会社を支えてきた取締役のO田さん(50代)についてでした。O田さんは卓越した技能を持つベテラン職人で、大手からの受託現場でも指名が来るほどの腕前です。 現場の番頭格であるO田さんをN村さんの補佐役に据えたのは父親でした。しかしこのO田さんがN村さんの評価を下げる発言を社外でしているというのです。 「O田は昔から私を子ども扱いのするところがありました。というのも私が2歳の時にO田は入社しているので、親目線と言うか、そのように見ているのだと思います」 改革を進めたいN村さんにO田さんは「保守的な意見をぶつけることも多い」と言います。そんな状況をやや疎ましく思いつつも、N村さんは先代社長の父親が大事にした人だからと尊重する姿勢を崩しませんでした。 「役員になったので、O田を地元の経済団体に入れたんです。ただ、どうもそこで色々私のことを話しているようで……子どもみたいだ、頼りない、机上の空論を振りかざしているだけで役に立たないなどと言っていると、他の出席者の身内から聞かされました」 その経済団体にはO田さん世代、つまりN村さんから見ると親世代と近い年齢の経営者が多数在籍しています。N村さんが親しくしている後継者数名が、その会のメンバーである親からそのような話を聞いたと教えてくれたのです。