平和の祭典開幕、戦時下思い複雑 「五輪は世界の注目遠ざける」
ウクライナやパレスチナ自治区ガザで戦闘が続く中「平和の祭典」が26日、始まった。「五輪は世界の注目を遠ざけてしまう」。ガザの男性は不安を口にした。選手らの勝利を国の勝利に重ね合わせたいキーウ市民、大会には関心がないと断言するロシアの女性。それぞれの複雑な思いが交錯した。 ガザ中部で避難生活を送るムハンマド・ナセルさん(30)はインターネット接続が安定せず、ニュースも人づてに聞くようになった。「(イスラエルの)爆撃でなくても飢えで死ぬような状況だ。今関心があるのは戦争が終わるかどうかだけ」 キーウに設けられたパブリックビューイング会場では開会式直前に戦争の犠牲者を追悼する黙とうが行われた。大学生のダリアさん(20)は「前線で兵士が戦う中で『平和の祭典』が開かれるのは複雑な気持ちもある。それでも、選手たちは勝利に向かって力を出し尽くしてほしい」と話した。 10年前に冬季五輪が開かれたロシア南部ソチの主婦イネッサ・ノビコワさん(49)は「全く関心がない」と語り、多くのロシア人の思いを代弁した。