「バトン技術まだ改良できる」陸上リレー銀4選手が東京五輪へ意気込み
リオデジャネイロ五輪の陸上男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得した山縣亮太(24)、飯塚翔太(25)、桐生祥秀(20)、ケンブリッジ飛鳥(23)の4選手が29日、東京の外国特派員協会で開かれた記者会見にそろって出席した。「バトンパス技術は全区間で改良の余地がある」(山縣)、「個々の力を高めれば36秒台も」(桐生)と語り、東京五輪へ向けさらに記録を伸ばせると意気込んだ。 【中継録画】リオ五輪400mリレー・銀メダリスト4人の記者会見
「個々の走力の高さがあったからこそ」
4選手は18日に行われたリレー予選で、37秒68のアジア新記録のタイムを出して決勝に進出。翌19日の決勝では、第1走の山縣選手、第2走の飯塚選手を経て、第3走の桐生選手からアンカーのケンブリッジ選手にバトンが渡った段階ではトップのジャマイカとほぼ並んだ。最終的に、ケンブリッジ選手がジャマイカのボルト選手に抜かれたものの、アメリカなどの強豪国を抑えて2位でゴール。記録は37秒60と世界歴代国別最高記録で3位の好タイムで、アジア記録もさらに更新した。日本の陸上トラック種目としては88年ぶりのメダルとなった。
決勝のレースについて、山縣選手は「走り終わった後、祈るような気持ちで見ていた。ケンブリッジ選手が2位でゴールしたときは『やったーっ』という気持ちだった」、飯塚選手は「ウイニングランのとき、現地のブラジル人の方々が祝福してくれて嬉しかった。温かみを感じた」などと振り返った。 桐生選手は「第3走は去年の世界リレーでも走っており、世界では負けないと言う自信があった」と自信をもって臨んだレースだった点を強調。ボルト選手と競り合ったケンブリッジ選手は、「僕にはジャマイカ人の血が入っている。世界最高の舞台で日本代表としてジャマイカチームと戦えたことを誇りに思う」と述べた。 バトンパス技術について、日本代表チームは2001年から、渡し手が受け手に対して下からバトンを手渡す「アンダーハンドパス」を採用。アンダーハンドパスはバトンの受け渡しに高い技術が求められるが、上からバトンを渡す「オーバーハンドパス」に比べて減速が少なくできる点がメリットだ。 従来はほぼ体の真下で受け渡していたが、今回のリオ五輪に向け、腕を伸ばして間隔を50~60センチ程度に広げた「改良型アンダーハンドパス」に取り組んだ。決勝では、予選よりもバトンを受ける側のスタートの目安とする位置を、飯塚選手と桐生選手が1/4足長(約7センチ)、ケンブリッジ選手は同1/2足長(約14センチ)伸ばし、快挙につなげた。 世界一と称されるバトンパス技術にスポットが当たることが多いが、チーム最年長の飯塚選手は、「バトン技術だけではなく、個々の走力の高さがあったからこそ今回の結果につながった」と分析した。 山縣選手は、「バトンパスは全区間で改良の余地がある。微調整を重ねて、いつかは100点のレースを実現したい」として、リオ五輪で見せたアンダーハンドパスが完成形ではなく、技術的にまだまだ高められるとした。 次は2020年の東京オリンピック。桐生選手は「個々の走力をもっと高めれば、日本記録が36秒台になるのも近い」としたほか、ケンブリッジ選手は、「今回のメダルはリレーだけだったが、4年後は個人でも結果を残し、もっと日本の陸上競技が発展すれば」と抱負を述べた。 (取材・文:具志堅浩二) ■全編動画