SANTAWORLDVIEWが語る、「SANTA」というユニークさの源泉、ヒップホップの無限性
「キックボクサーがMMA習ったみたいな感じ」
―「Honest / Feeling Good(Piano Black)」では甲田まひるさんのピアノがとんでもないことになっていますね。 AWSM.とスタジオ入って作りました。最初ピアノの音をサンプリングしようと思ったんですけど、後ろにシャカシャカした音が入っていてサンプリングしづらいなと。そこで魔法カード使うしかないなということで、甲田まひるという最強の手札を使うことになったわけです。すばらしい演奏をしてくれましたね。 ―この曲は、菅野ようこさんの曲のサンプリングも話題になりました。 「Too Good Too Bad」と「Piano Black」を使わせてもらえないかと手紙書いたんですけど、気持ちが届いたのが嬉しかった。しかも、自分のことをちゃんと見てくれて聴いてくれてるんだなって。『カウボーイビバップ』大好きで、肩にでかいタトゥー入れてるくらいなんですよ。夢が叶いました。この2曲についてはずっと前から構想があって、ようやく実現した感じです。あと、「I Wish For U feat. Bank.Somsaart」のサンプリングも面白くて。Instagramで流れてきた犬の動画の鳴き声が良くて、それを使いました(笑)。 ―SANTAさんがクレジットされていない曲は、トラックには関与していないんですか? いや、それこそ「Don’t Worry」は基本のビートは自分で組んでいて、そこにAWSM.がギターやベースを入れてくれた感じ。「Boys don’t cry」も、自分でLogicでピアノとドラムパターンを組んで、それにNOCONOCOくんがピアノアレンジをしてギターを入れてくれて、みたいな。基本的にはそういうパターンが多いです。 ―なるほど。じゃあやっぱり、クレジットされてない曲についてもSANTAさんが何かしらビートメイクに関与しているということですね。それは大きな変化だ。 そう。以前は、送られてきたビートから選んでそれにラップ乗せてただけだったので。だから、キックボクサーがMMA習ったみたいな感じですごいでしょ? ―(笑)。セルフプロデュース度合いがだいぶ高まってきてますね。 ラップだけ磨きすぎても凝り固まってくるんですよ。それに、巧いラッパーは他にたくさんいるし。Leon (Fanourakis)もralphも、あの低い声だけでもう最高じゃん。あれには勝てないよ。そうなった時に、自分は音で勝負しないといけないなと。 ―最近は、周りのラッパーについてはあまりもう意識しないようになってきてますか? 最近は周りのラッパーの曲は聴いてないですね。自分は、リスペクトしすぎるとスタイルが似ちゃう癖があるし、MACCHOさんとかやっぱりすごすぎるじゃないですか。以前は、どう動くかというところで周りとか外側ばかり見てた。こう見られたいから流行りにどう乗るか、みたいな。でも、自分が世界だということに気づいたんです。今は内側を見るようにしてます。最大の敵は自分なんですよね。弱い自分がそこにいるから、架空の敵を周りに作って数字で勝負してた。それは、内側を変えることで外も反応するという良い例。「内から外」ですよ。あれ、OZROSAURUSだ。やっぱMACCHOさんの言う通りだな。すごいわ(笑)。