「 女性下着売り場になんて行かない」LGBTQ当事者が本音を激白。企業がはき違える多様性の謎。目指す未来は「 みんな平等 」じゃない
下着販売で知られるワコールは性の在り方や障害の有無にかかわらず全ての客が安心して利用できる売り場づくりを目指そうと従業員向けの接客指針を手引にまとめ公開した。これが波紋を呼んでいる。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「LGBTQ(性的少数者)や障害者に見た目だけでは気付けないことも多く、思い込みを減らし、柔軟な対応を心がけたいと発表したようですが、残念ながらあまり意図は受け入れられていない様子。中でも試着についてはさまざまな声が上がっています」。 これまで試着は見た目や会話の内容から女性と判断した客を対象にしてきたという。 「自認する性別が出生時と異なるトランスジェンダーや異性の装いをするクロスドレッサーの客への対応が課題のようですね。パンフレットではフィッティングルーム内での接客は、外見や会話内容から判断し、女性だと確認が取れたお客さまに限らせていただいていますとあります。女性たちからは、どんな状況であれ下着売り場に異性がいたら怖いという声が上がっています。なかなか難しい問題ですね」。 LGBTQ(性的少数者)、障害者…人にはさまざまな特性がある。どの視点から見るかでマイノリティとマジョリティかは異なる。今回は実際のトランスジェンダーに話を聞きながら、なぜこのような間違った多様性が広がるのかを考えていく。 ----------------------------------------------------------------------------
鈴木望さん(仮名・39歳)は生まれたときの性別は男。しかし、性的自認は女性。いわゆるトランスジェンダーだ。気がついたのは幼少期だったと話す。 「もともと、女の子の好きな遊びが好きでした。おままごととかリカちゃん人形とかシルバニアファミリーとか。姉がいたので、そのせいかと思っていましたが、小学生になり、男の子のことが好きになり、あれ?って」。 幸い、父と母、姉は理解のある対応をしてくれた。 「私に男という性を押し付けることなく育ててくれたことに感謝してもしきれません。大人になるにつれ、同じような境遇の人に会うようになり、改めてそのことについては強く感じるようになりましたね」。 自分とは異なり、否定され続けてきた性的マイノリティの人が多いことを知ったのだ。 「生まれてこなければよかったみたいに思ってしまうほど、追い詰められている人も結構、多くて。生まれるときの性別なんて選べないのに悲しいですよね。でも親の気持ちもわからないでもない。多分、わからない分、怖いと思ってしまうんでしょう。自分の中の普通が世間の当たり前と思っている人には理解なんてきっとできないですよね」。 そんな望さんは昨今の羽のように軽くなって一人歩きする多様性の危うさについて思うことがあると話す。
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