「知事の座を追われて終わり」にしてはいけない兵庫県の“斎藤劇場”
でなければ、職にとどまり続けられないと思いますし、おとといの会見で初めて見せた涙は当選当時の議会に関する話の中でしたが、「私は何もぶれていない。変わったのはそっちだ」という悔しさからかもしれません。 ■「知事の座を追われて終わり」ではない さて、では今後どうなるかですが、県議会全議員が不信任決議に賛成すると言っている以上、決議案が出れば可決は間違いなく、そうなると斎藤知事に残された道は辞職か、議会解散か。解散しても、次の議会は再び不信任を決議するでしょうから、そこで失職。遅かれ早かれ知事の座は追われます。 じゃあ、それで終わりかというと、そうしてはならない問題が二つ残ります。一つは、「公益通報」の問題です。 今回、斎藤知事は、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題した7項目の告発文の存在を知ると、直ちに側近らに書いた職員の割り出しを指示しました。そうしてそれが、西播磨県民局長だと分かると、退職予定を先送りしてまで処分し、「ありもしない」「噓八百」「絶対許されない」と罵詈雑言を会見で述べ、名誉棄損での告訴まで匂わせました。 ところが、告発の中にあった各種パワハラ行為や、「おねだり疑惑」は、その後の百条委員会の調査などで「20m歩かされただけで激怒」とか「物を投げつけた」とか、カニやカキ、ジャケットや家具など実に137品目の贈答品を受領――といった事実が次々明らかになりましたよね。 その一つ一つが(こう言っては何ですが、ある意味、情けなさ過ぎて)話題になったので、本質を見失いそうになりましたが、大事なのは、公益通報かどうかを判断するポイントの一つ「真実相当性」を、あの告発は満たしていたということです。 であれば当然、知事や副知事は告発が嘘八百などではないと分かっていたはずなのに、公益通報として扱わず、告発者を徹底的に追い込んだことの違法性が浮かび上がります。しかもあろうことか、パソコンに残っていたプライバシー情報を一部県議に漏らし、告発者を脅していた疑いまで浮上しています。