岸田首相が解散を見送った理由は「東京で異変」があったから? 「政権与党離れ」の兆候 データで読み解く政治(2)
参政党も22区議選で14人が当選し、計約5万2000票を獲得。2022年に国政政党になったばかりの「新興勢力」ながら、地位を確固たるものとした。 注目すべきは、前回と今回で投票率に大きな違いがない点だ。21区議選の平均投票率は、前回は42・63%、今回は44・51%。足立区議選は前回42・89%、今回42・79%だった。 それなのに、日本維新の会や参政党などの新興政党に多くの票が入っている。前回選では自民、公明両党に入っていた票が少なからず、こうした新興政党に流れたとみるのが自然だ。これまでの東京の選挙における主要な既存政党の構図に、地殻変動が起こっている恐れがある。 公明党の山口氏は、4月24日の記者会見でこうした分析を明かしている。「維新系候補が多く得票し当選している。全体として投票率はそれほど上がっているわけではない。そこが増えた分、既存勢力が割りを食った面があった」
▽維新は大田都議補選で落選も大きな手応えを得る 6月4日投開票の大田区の都議補欠選挙でも、当選こそしなかったものの、維新候補は存在感を示した。比例東京選出の自民党の高木啓衆院議員は5月30日の自民党候補の応援演説で、こう訴えている。「自民党にとって順風ではない選挙が続いている」。同じくマイクを握った東京選挙区選出の朝日健太郎参院議員も、足立区議選を「大変厳しい結果だった」と振り返り、支持を呼びかけた。最終的に自民党候補は約4万票を獲得し、定数2のうち2位で当選、次点は維新の候補だった。 この都議補選での日本維新の会候補の得票は、25・33%という低投票率の中で約3万票を獲得し、得票率は約20%。一般的に投票率が低い選挙は組織票を持つ政党が有利だ。無党派層への依存度が低い選挙は維新に不利な戦いになった。ただ、その厳しさの中で一定の成果を挙げた格好とは言える。日本維新の会の馬場伸幸代表は6月6日の党会合で「そこそこの成績をいただいたのではないか」と自信をにじませた。