「望み」なのか単なる「ワガママ」なのか…「介護は子がするもの」と主張する親への関わり方 年末年始に親の意向を聞く際のトラブル回避術
1つめが、話のフックとして世間の話題を絡めてみること。 具体的には、著名人や芸能人の病気や訃報の話題などにふれ、「もし急にこんなことになったとしたら、何か後悔することってあるかな?」「最期はどんな迎え方がよいとかある?」などと話を振ってみるのです。 こういう遠いテーマだと、あまり深刻にならずにすみます。この際に「私ならこういうふうに過ごしたいかなぁ」などと、自分も気持ちを伝えてみるのもいいかもしれません。
2つめが、「何をやりたいか(やってほしいか)」を聞くよりも「何をやりたくないか(やってほしくないか)」を聞いてみること。例えば「これからの生活をどう過ごしていきたい?」と聞かれるより、「介護を受けるなら、これだけは嫌っていうことある?」と聞かれたほうが、答えやすいものです。 嫌なことを話してくれたら、それがなぜ嫌と思うのかも、ぜひあわせて聞いてみるといいでしょう。 そして3つめは、会話のテンポを親に合わせること。これは会話術というよりも聞き方のテクニックになります。
年齢とともに、耳が遠くなり、理解力が落ちてくるのは、誰しもに訪れる老いの変化です。もし親が何度も聞き返してきたり、質問の意図と違う趣旨のことを話し始めたりしたとしても、怒ったり途中で遮ったりせず、最後まで聞きましょう。相手が自分の話を聞いてくれていると思うと、親も安心して話すことができます。 もちろん、本人の希望はその時々で変わってくるもの。意向は変わって当然だからこそ、繰り返し話していくことが大切です。
(構成:ライター・松岡かすみ)
中村 明澄 :向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医