『光る君へ』ロスの私。6年前に光源氏を演じた舞台、その実現までの道のりを思い出す
◆今でもはっきり思い出せます それから何日が過ぎたでしょう。 大概しつこい私ですが、これはさすがに諦めなくてはだめなのかなと思い始めていた頃、忘れもしない、仕事で東京駅に向かうタクシーの中でその連絡はきました。 「越乃さんお待たせしました。一緒にいいものを作りましょう!」 劇団からの連絡に、タクシーの中で大泣きしました。 そのときの場所も、つられて泣いているマネージャーと、何だかわからないながらも一緒に喜んでくれたタクシーの運転手さんのことも、今でもはっきり思い出せます。 与えられたことをするのではなく、自分で考え動いたことが、私には初めてのことだったように思います。 出演者には、心強い同期2人にお願いし、振り付けは大好きなKAZUMI-BOY先生にお願いしました。 衣装は以前からお付き合いのあった、明治大正時代のアンティーク着物をリメイクし「伝統と創造」をテーマに国内外で活動されている美・JAPONの小林栄子さんにお願いしました。 能楽堂なのに、歌舞伎舞台の皆様にも大変お世話になりました。 当日のロビーには、ふるさと新潟のよいものを皆様に知ってほしいと、新潟の企業様とコラボレーションして作った商品が並び、リーダーの煌月爽矢さん(今は中原由貴さん)と貴澄隼人さんをはじめとする宝塚時代の下級生たち10人が、販売やチケットもぎりや舞台袖のお世話までお手伝いしてくれました。
◆これからも続く長い旅路 たくさんのたくさんの方のお力をお借りして0から作り上げた舞台に、齋藤先生は「瀏覇(りゅうは)」というタイトルを付けてくれました。 最初はピンとこなかったタイトルですが、退団して何かがそぎ落ち原点に帰った今の私に「瀏」はとても相応しい言葉だと先生は言いました。 「覇」は勝利、極みを意味するそうです。 リュウはリュウ(瀏)を極める(覇) 何にも極めてもなく勝利もしてない私ですが、この鍛錬はこれからも続く長い旅路です。 源氏物語という言葉に触れる度、サブリミナルのようにふっと思い出す風景。 齋藤先生、KAZUM-BOY先生、仲間たち、お世話になった皆様、能楽堂から見た景色。 世間知らずだった私の原点。
越乃リュウ
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